眺めてよし使ってよしのカランダッシュ
最終的にたどり着いたのは、スイス「カランダッシュ」のボールペンである。本国でもイタリアでも、スタンダード仕様なら3000円前後で買える。ボク自身はジュネーブモーターショーに行ったとき市内で買い求めた。
鉛筆と同じ六角形のボディーは握りやすく、長さが短めでかさばらない。画材メーカーだけあって、ブルーインクの色も絶妙だ。
ボクが選んだボディーカラーは赤である。スイス鉄道の車体色を想起させるからだ。その鮮やかな色は、カバンの中や旅先の宿に置いておいてもすぐに見つかる。大変気に入って、すでに同色のスペアも買ってあるのだが、壊れないので出番がない。
困った点もある。替え芯は本場スイスだとスーパーの文具売り場にぶら下っているのだが、国境をまたいで隣国ドイツに入った途端、パタリとなくなる。大都市の筆記具店でも、扱っているところはまれだ。
そしてもうひとつ気になるのは、近年、日本の文具店でも広く扱われるようになり、有名文具店の名称が入った独自仕様まで販売されるようになったことだ。
カランダッシュの場合、スイスで買えるものも、日本での販売品も同じ工場で作られているので少々意味合いは異なるが、「かつてGMのタイ工場で作られていた『スバル・トラヴィック』の登場前に、その元ネタであるドイツ製『オペル・ザフィーラ』を買ってしまったユーザーの気持ちって、こんな感じだろうな」などと想像してしまうのである。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。20年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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