BMW M2クーペ(FR/7AT)
BMWらしさにあふれている 2016.06.10 試乗記 最もコンパクトなBMW Mモデルとなる「M2クーペ」。その引き締まったボディーと、3リッターの直6ターボエンジンが織り成す走りは、われわれがBMWと聞いて期待するスポーティーさにあふれていた。BMW好きの心をくすぐる
BMWに好意を持つ人は多いけれども、どこが好きかという対象は人それぞれに異なると思う。しかし新しく誕生したM2クーペは、BMW好きなら誰もが興味を示す資質を備えている。直列6気筒フロントエンジン、リアドライブという基本構成はもとより、ヨー慣性モーメントの小さそうなサイズ感を持ち、その2ドアクーペの容姿もまたBMWらしさにあふれている。
M2とは車名のMからも分かるように高性能版である。コンパクトな「2シリーズ」のノーズに、3リッターの排気量から370psと47.4kgm(465Nm)のパワー/トルクを発生するターボエンジンを収める。ギアボックスは6段MTが本国での標準ではあるが、日本仕様は7段DCTのみとなる。イメージとしては往年の「2002tii」やE30型「M3」をほうふつとさせるが、前後の太く大きなタイヤや張り出したオーバーフェンダーなどにより、さらに迫力ある今風な勇姿を装う。
こういうクルマなら、本来ならば6段MTの方が筋ではあろう。しかし、今やハイテクを駆使した自動変速の方が加速も速いタイムを出しているし燃費もいい。ちなみに、欧州仕様では0-100km/h加速は6段MTが4.5秒であるのに対して7段DCTは4.3秒となり、燃費も前者の8.5リッター/100kmから後者の7.9リッター/100km(日本式の表示にすると11.8km/リッター対12.7km/リッター)へと伸びる。日本市場としては圧倒的に2ペダルが多数派であるし、「速くて、しかも経済的」という大義名分には勝てない。また中古車になったときの価値まで考える人も多いから、インポーターの車種決定は妥当と思われる。