外国人にはちんぷんかんぷん

というわけで、2016年4月、ボクも遅ればせながら走ってみることにした。

ボクの場合は、イタリア中部トスカーナ在住なので、ランボルギーニとは逆に、フィレンツェ側からボローニャ側に向かって北上することになる。
「フィレンツェ平野を抜けて、すぐにバイパス区間か?」と思ったら、まだクネクネしたカーブが続く。今回開通した59kmは、アペニン山脈区間の、いわば“肝”の部分だけだった。

バイパス起点は、フィレンツェの最後のインターから約22km、サーキットで有名なムジェロからであった。

しかし、そこで思わぬ事態が起きた。各2車線のレーンが分岐するようになっている。「きっと、ちょっと曲がるように設けられたレーンが、新しいバイパスにつながるんだ」と信じてクルマを走らせた。しかし、なんとそちらは旧道につながるレーンであった。なんだよ、せっかく楽しみにしていたのに……。
途中からバイパス側に復帰するルートは作られていなかった。仕方がないのでボクは黙々と旧道を走って峠を抜けた。不幸中の幸いは、旧道を走るトラックが極めて少なくなっていたことだった。

帰路、今度は目を皿のようにして標識を見ながら運転する。すると、旧道との分岐の地点で、バイパス側に分かれるほうに小さく「ヴァリアンテ」の文字が加えられているのを発見した。イタリア語のvarianteは、英語のvariant同様、「異なった」「異形の」という意味だ。これまでもイタリア各地のアウトストラーダに「ヴァリアンテ」という語は存在したが、残念ながらこれまでボクの行動範囲ではなじみがなかった。新しい道を走りながら、ボクのような外国人が、その文字を瞬時に判断するのは、そう容易ではない。

で、バイパスの走り心地はどうかというと、トンネルは多いものの(最長のものは、入ってから出るまで約5分もかかる)、カーブが緩く勾配も少ないため、運転のストレスは極めて少ない。料金も同じだ。かなりお得感がある。

公式発表によると、この快適なバイパス開通によって、年間1億リッターの燃料節約効果があるという。

旧道と新道との分岐を示す標識。左が旧道で、直進がバイパスとなる新道。
旧道と新道との分岐を示す標識。左が旧道で、直進がバイパスとなる新道。 拡大
iPhoneのGoogleマップは、もちろん新しくできたバイパスをなぞるが……。
iPhoneのGoogleマップは、もちろん新しくできたバイパスをなぞるが……。 拡大
ボクのクルマの純正ナビは、いまだ2008年版DVDマップゆえ、旧道(オレンジ色の線)しか記録されていない。自車位置表示は、バイパスを知らぬまま森をさまよっていたのだった。とほほ。
ボクのクルマの純正ナビは、いまだ2008年版DVDマップゆえ、旧道(オレンジ色の線)しか記録されていない。自車位置表示は、バイパスを知らぬまま森をさまよっていたのだった。とほほ。 拡大
バイパスのサービスエリア。供用開始されているものの、まだ施設は部分開業状態。
バイパスのサービスエリア。供用開始されているものの、まだ施設は部分開業状態。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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