コーナー消滅でも売れるランチア

先日、再び同じショールームをのぞいてみると、改装作業はすでに完了していた。例の「プレミアム部分」は内装が黒基調で、ジープ各車が展示されている。

そしてもう半分、床と壁が白いスペースはフィアットのブースで、早速同ブランドの一押し車種「124スパイダー」が展示されていた。
例のセールスマン、アンドレアが「2階も変わったよ」と言いながら階段を上がるので、ついていく。

従来「特選中古車展示場」だったところが、アルファ・ロメオのコーナーになっていて、話題の「ジュリア」が2台、「4C」が1台ディスプレイされている。蛇足ながら、これまで展示されていた中古車は、すべて屋外展示場に移動した。

春先に説明を聞いて、てっきりジープとアルファ・ロメオを一緒に1階で並べるのかと思いきや、このディーラーの場合はアルファを2階に分けていた。

さらにアンドレアは「こっちも、見てってくれ」と誇らしげに言う。のぞいてみると、そちらはアバルトのコーナーだった。
彼の務める販売会社では、アバルトは原則として州内の専売店舗でしか展示していなかった。2007年のアバルト本格復活以来のポリシーだった。
だが、こちらもこのほど本社の方針が変わり、全店舗にブースを設けるようにしたのだそうだ。

「ついにウチでもアバルト扱うようになったんだぜ」と、プライベートでも車好きのアンドレアは誇らしげだ。

おっと、忘れていけないのはランチアだ。もはや専用のスペースが消滅している。

そういえば、春先に訪れたとき、盾形の壁掛け用エンブレムは、すでに部屋の片隅に置かれていた。
FCAの段階的ランチアブランド縮小政策により、いまや一般人向けのランチアは「イプシロン」しかない。そのイプシロンはデビュー5年が経過したにもかかわらず、いまだ人気だ。イタリアにおける2016年上半期の販売台数は、フィアットの「パンダ」に次ぐ2位(3万9202台)。しかも、前年同期比23.5%増しという高い伸びを見せている。“黙っていても売れる”のだから、目立つブースを設けなくてもオーケーといえる。

改装工事完了後のスコッティ。2階に上るとアルファ・ロメオのコーナーができていて、「ジュリア」が展示されていた。右奥は納車ブース。
改装工事完了後のスコッティ。2階に上るとアルファ・ロメオのコーナーができていて、「ジュリア」が展示されていた。右奥は納車ブース。 拡大
現在のアルファ・ロメオのコーナーは、ついこの間まで雨にあてたくない特選中古車の展示場だった。2008年撮影。
現在のアルファ・ロメオのコーナーは、ついこの間まで雨にあてたくない特選中古車の展示場だった。2008年撮影。 拡大
トスカーナ州モンテルーポ・フィオレンティーノのアバルト専売店舗。これは2009年、できて間もないころに撮影したもの。
トスカーナ州モンテルーポ・フィオレンティーノのアバルト専売店舗。これは2009年、できて間もないころに撮影したもの。 拡大
改装後、個室は消えた。奥にランチアの巨大エンブレムが立て掛けられている。
改装後、個室は消えた。奥にランチアの巨大エンブレムが立て掛けられている。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

フィアット の中古車
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