財布にやさしく、走って楽しく

日本時代同様、ヨーロッパでもボクが借りるのは、きまって最低・最安グレードのレンタカーである。今年2011年の7月は、ひと月のうちに3回もそうしたレンタカーを、各地の空港から使っていた。
まずパリ・オルリー空港で借りたのは「ルノー・トゥインゴ」だった。参考までに料金は4日間で184.49ユーロ(現在のレートで約1万9000円)であった。日割りにすると、4700円ちょっとである。

続いてイギリスでは「フォルクスワーゲン・ポロ」、再び訪れたフランスでは「トヨタ・アイゴ」が当たった。こうして「なにが当たるかお楽しみ」な福袋的感覚も、レンタカーならではである。

欧州のベーシックカーというのは、見た目とは裏腹によく走る。フランスの130km/h制限の高速道路でも、ギアを適切に選択していれば、まったく痛痒(つうよう)を感じない。第3車線を使った追い越しも、アグレッシブにあおる後続車がいない限り、十分安全にこなす。

いっぽう格安レンタカーの装備は、いうまでもなくたかが知れている。たとえぱオーディオ。最近はようやくAUX端子が付いたレンタカーも増えてきたので、ボクはステレオミニプラグ付きコードとiPhoneを持参しているが、基本的には「押して電源オン、回してボリューム」というベーシックなCDラジオしか付いていないと思ったほうがいい。

しかし考えてみれば、1996年にイタリアに住み始めた頃借りた初代「ランチア・イプシロン」は、エアコンが付いていなかった。同じ頃借りた「フィアット・プント」や「パンダ」(いずれも初代)にいたっては、右側ドアミラーが装着されていなかった。参考までにイタリアでは、90年代末まで右側ミラーはなくてもOKで、ドイツ製高級車でさえ未装着のクルマがあった。したがって格安のレンタカーに使われるようなクルマの、それも最低バージョンは、当然右側ミラーなど付いていなかったのだ。
ついでにいうとその2台は、ラジオもなかった。ただしなくても、習いたてのイタリア語で、うろ覚えのカンツォーネを歌って乗っていれば、それだけで楽しかった。あの頃を思えば、今日どんなプアな装備のクルマにも耐えられる。

またまた同月、こんどはパリのシャルル・ドゴール空港でレンタルした「トヨタ・アイゴ」。
またまた同月、こんどはパリのシャルル・ドゴール空港でレンタルした「トヨタ・アイゴ」。 拡大
最安グレードは基本的にシティーカーゆえ荷室容量に注意。アイゴは中型スーツケースがかろうじて収まった。
最安グレードは基本的にシティーカーゆえ荷室容量に注意。アイゴは中型スーツケースがかろうじて収まった。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

あなたにおすすめの記事
新着記事