借りものとわかっていても

思えば、メンテナンスその他は基本的に人任せのレンタカーやカーシェアリングという存在は、昨今コンピューターの世界で話題となっている「クラウド」の先祖ではあるまいか。

とはいっても、長旅をともにすると、旅の終わり頃には「自分のモノだったらいいな」という気持ちが芽生えてしまうクルマも時折ある。そうしたときに限ってクルマを返しに行くと、ボクの気持ちを察したかのように、カウンターのおじさんが「もうすぐこのレンタカー、使用期限が過ぎるから売却するよ」などと持ちかけてくる。
しかし、そのたび自分の心を鬼にしてオファーを断っている。さすらいの船乗りは、寄港地の女に後ろ髪を引かれつつも、最後には別れて旅立つから粋(いき)なのである。

レンタカーを自分のクルマにするというのは、つい情にほだされて港酒場で知り合った女と所帯を持ってしまうようなものに思えるのだが、いかがだろうか。

(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)

※お知らせ2011年11月26日(土)渋谷・日伊学院にて大矢アキオの文化講座「雑誌広告を見ながら振り返る戦後イタリア」を開催。 詳しくはこちらをご覧ください。

欧州大陸から来たドライバーのために「左側を走るべし」の警告が。
欧州大陸から来たドライバーのために「左側を走るべし」の警告が。 拡大
それでも念のため、英国を走るときは、いつもこんな付箋を貼り付けてます。
それでも念のため、英国を走るときは、いつもこんな付箋を貼り付けてます。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

あなたにおすすめの記事
新着記事