「今日からお前は大和だ!」

が、シルバーのボディーカラーはあまりに普遍的に野暮天だったため、オールペンを敢行することにした。
カラーは「R32スカイラインGT-R」のガンメタを選択した。32GT-Rは日本の誇り、戦艦大和の生まれ変わりだ。そのボディーカラーをまとうことで、ド中古初代プリウスに戦闘マシンの魂を移植することを狙ったのだ。
「戦え、戦うんだ初代プリウスよ! 今日からお前の名は『大和』だ!」 何と戦うのか。もちろん燃費である。
大和としてリボーンした激安初代プリウスは、しかし早くも私に激しい衝撃を与えていた。
「うおおおお、燃費アタックって楽しい!」

それはとてつもなく奥の深い頭脳ゲームだった。そこらのガソリン車とハイブリッドカーとじゃ、燃費アタックの複雑さのレベルが違う。なにせプリウスは2つのパワーユニットを載せ、適宜組み合わせて使っている。その順列組み合わせは無限大。まるで男女関係のもつれである。オッサン単独では屁をこいてもひとりだが、男女がそろえば屁をこくのもドラマとなる。
いかにしてこの一組の男女に相互補完的な関係を築かせるか。それをアクセル操作のみで行うのは、「F40」での筑波サーキット最終コーナー立ち上がりのアクセル操作に勝るとも劣らないシビアさだった。

知り合いの板金屋さんにてオールペンされる直前の初代「プリウス」。
知り合いの板金屋さんにてオールペンされる直前の初代「プリウス」。 拡大

「GT-R」のガンメタへのオールペンが完成し、“大和”へとリボーンした初代「プリウス」の勇姿。


	「GT-R」のガンメタへのオールペンが完成し、“大和”へとリボーンした初代「プリウス」の勇姿。
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ハイブリッドカーの燃費アタックは、「F40」のアクセル操作にも匹敵するほどシビアで奥の深い頭脳ゲームだ。(写真=池之平昌信)


	ハイブリッドカーの燃費アタックは、「F40」のアクセル操作にも匹敵するほどシビアで奥の深い頭脳ゲームだ。(写真=池之平昌信)
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清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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