実現なるか!? 幻の多角形コーナリング

左右駆動力配分といえば、我が愛車・フェラーリ458イタリアだ。Eデフによる左右駆動力配分でUFOのように曲がる。下りのタイトコーナーでブレーキを残しステアリングをズバッと切り込むとその場で直角に曲がる!

私は震えた。「風吹裕矢の幻の多角形コーナリングが実現した!」と。曲がりすぎて不自然だという人もいるが、確実に異次元の世界が見られる。異次元こそスーパーカーの命!

NSXは前輪でそれを行うわけだが、左右駆動力配分をもってすれば、後輪だろうが前輪だろうが異次元のコーナリングが味わえるはず。しかしホンダがどこまでやるか? 「曲がりすぎて危ない」みたいな大企業の理論が顔を出すんじゃないか? そう疑っていたのだ。

で、実物はどうだったか。

ちょいぬれのワインディングを走りつつ、私の疑いは徐々に驚きに、そして確信に変わっていた。

「こ、これは……。458イタリアだ!」

もちろん違いますよいろいろ。違うけど「恐ろしいほど曲がる」という点はメッチャ似てる! ステアリングを軽く切り込めば面白いように曲がる! あり得ないほど曲がる! 狙った3倍くらい曲がる! 幻の多角形コーナリングではないが、小さな弧を描いてギュインと曲がる! 少なくとも公道レベルなら前輪に引っ張られて曲がるような違和感もない!

こ、このクルマのコーナリング、大好きだあぁぁぁ!

加速もすごい。モーターのトルクが乗っかる分458イタリアよりも速い。サウンドもかなり頑張っている。フェラーリを超える美声を奏でるレクサスLFA同様、吸気音を車内に引き込むサウンドクリエーターを装備。エンジン始動時の爆音はモダンスーパーカーの定番。クワイエットモードならそれも消せるから、ご近所に配慮して始動時に古座布団でマフラーにフタをする必要もない。

踏み込んだ時の炸裂(さくれつ)音は、音程がやや低く雑味も強めだが、アクセルオフでは「パンッ!」とアフターファイア音も出る。大衆車に専念していた大メーカーが懸命にモダンスーパーカーを研究し、「追いつき追い越せ」と努力したのがよくわかる。

愛車「458イタリア」で、幻の多角形コーナリングに挑む筆者。(写真=池之平昌信)
愛車「458イタリア」で、幻の多角形コーナリングに挑む筆者。(写真=池之平昌信) 拡大

“幻の多角形コーナリング”をキメる(!?)「NSX」。


	“幻の多角形コーナリング”をキメる(!?)「NSX」。
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“恐ろしいほど曲がってる”最中(!?)の「NSX」走行シーン(車内)。


	“恐ろしいほど曲がってる”最中(!?)の「NSX」走行シーン(車内)。
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ご近所に配慮中の「458イタリア」。
ご近所に配慮中の「458イタリア」。 拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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