「マツダ・ロードスター」との関連は強み

気さくなフランチェスコ氏と、彼の先輩マッシミリアーノ氏によると、前評判は上々という。

マッシミリアーノ氏に124スパイダーシリーズの納期を聞くと、「90日」つまり3カ月という答えが返ってきた。
どういうお客さんが関心を寄せているのか? それに対する分析は冷静だ。
「アバルト124スパイダーの場合、4万ユーロ(約460万円。付加価値税22%含む)という価格帯からして、購買層は限られることはたしかだね」
なるほど、プロモーションによっては1万ユーロ以下で買える「フィアット・パンダ」が登録台数ナンバーワンの国において、そのプライスレンジは別格といえる。

どういったクルマがライバル候補になりそうか? その質問に対して、マッシミリアーノ氏は即座に「無し」と答えた。124スパイダーのようなモデルは、ファンが気に入れば、脇目もふらず買い求めるものなのだ。

「下取り車はどんなクルマが来そう?」との問いには、脇にいたフランチェスコ氏が「みんな、下取り車は出さないで買うお客さんだよ」とすぐに教えてくれた。「現在の所有車とは別に、休日を楽しむために買うんだ。つまり“クアルタ・マッキナ”さ」。
クアルタ・マッキナ(Quarta macchina)とは、4台目のクルマのこと。1人1台所有がポピュラーなイタリアで、夫、夫人そして子供用とは別の自動車という意味である。

ところで、「マツダ・ロードスター」とプラットフォームを共有していることは、顧客に説明するのか?
マッシミリアーノ氏は、「趣味性の強いクルマに興味を持つ人は、必ず先に勉強してくる」と証言する。それに付け加えれば、日本ブランドやマツダ車の評価が高いイタリアゆえ、それはプラスには働いても、決してマイナスにならないだろう。

イタリア国内のFCA販売店における風景。写真は、第469回で記したように目下販売好調の、新型「ティーポ」のステーションワゴンと5ドアハッチバック。
イタリア国内のFCA販売店における風景。写真は、第469回で記したように目下販売好調の、新型「ティーポ」のステーションワゴンと5ドアハッチバック。 拡大
新型「ティーポ」(右上)が、どんどん届く。トルコ工場製だが、マッシミリアーノ氏によると、もはや製造国を気にするお客さんは、ほとんどいないという。ポーランド製「500」が登場した頃から、イタリア人のメンタリティーも変わってきた。
新型「ティーポ」(右上)が、どんどん届く。トルコ工場製だが、マッシミリアーノ氏によると、もはや製造国を気にするお客さんは、ほとんどいないという。ポーランド製「500」が登場した頃から、イタリア人のメンタリティーも変わってきた。 拡大
イタリアを代表する定番大衆車「フィアット・パンダ」(左)と、「ランチア・イプシロン」(右)。2016年9月国内新車登録で1位と2位を占める。
イタリアを代表する定番大衆車「フィアット・パンダ」(左)と、「ランチア・イプシロン」(右)。2016年9月国内新車登録で1位と2位を占める。 拡大
本国仕様の「アバルト124スパイダー」では、「サウンドプラス」と名付けられたパッケージオプションを選ぶと、9スピーカーの「BOSEプレミアムサウンドシステム」が装着される。
本国仕様の「アバルト124スパイダー」では、「サウンドプラス」と名付けられたパッケージオプションを選ぶと、9スピーカーの「BOSEプレミアムサウンドシステム」が装着される。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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