バスで移動する放浪ヒーロー

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』は、イーサン・ハントとは異なるオルタナティブなヒーロー像を示している。シリーズ2作目で、前作は本欄でも紹介した2013年の『アウトロー』だ。元陸軍少佐の主人公ジャック・リーチャーは、アメリカ中を放浪している。持ち物はわずかな現金と歯ブラシだけで、着替えすら持たない。ハントの洗練はなく、いくぶん粗野で時に乱暴者となる。

バスで移動するから、路線は知り尽くしている。蛭子能収と組めばテレ東で人気番組のレギュラーを張れそうだ。食事はもっぱらロードサイドのダイナーである。冒頭シーンでは、ダイナーの外に数人の男が倒れている。リーチャーが素手で倒したのだ。通報を受けた保安官が中でコーヒーを飲んでいた彼を逮捕すると、平然と言い放つ。
「90秒以内に2つのことが起きる。まず電話が鳴り、この手錠はお前の手に移る」

ハッタリではなく、予言はそのまま現実となった。アクションスリラー映画として理想的な導入シーンだろう。主人公が神がかった格闘能力を持つとともに、作戦遂行に卓越したスキルを発揮することを簡潔に描き出している。リーチャーはバスに乗ってバージニアを目指す。彼の後任となったスーザン・ターナー少佐(コビー・スマルダース)に会うためだ。

執務室を訪れると、彼女の席には上官のモーガン大佐(ホルト・マッキャラニー)が座っていた。ターナー少佐は国家反逆罪で逮捕されたという。部下が戦場で殺害され、彼女には情報を漏らした嫌疑がかかっている。

(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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第135回:アウトローにはおっさんアクションが似合う 『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の画像拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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