悪者は黒のSUVで現れる

説明に納得しないリーチャーが退出してダイナーに向かうと、尾行してくる黒いクルマがあった。「ダッジ・デュランゴ」である。この手の映画で黒のSUVに乗っているのは、悪者というのが相場だ。リーチャーはもちろん察知しているから、裏をかいて雑魚キャラをたたきのめす。サイドウィンドウを素手で破るのがリーチャー流である。ハントならもう少しスマートな方法をとるだろう。

かくしてターナー少佐とバディーを組むことになるのだが、なかなか息が合わない。ルール無用の一匹おおかみとポリティカル・コレクトネスが染み付いたエリートでは、行動様式も思考方法もかけ離れている。正義を実現するという目的が同じでも、選ぶ道筋がまったく違うのだ。

彼らはアメリカ軍を舞台にした巨大な陰謀に巻き込まれてしまった。利権をめぐって暗闘が展開されているらしい。巧妙な情報操作で二「人は殺人犯として追われることになった。窮地に追い込まれた上に、リーチャーにはさらに面倒な事態がふりかかる。15歳の娘がいることが判明したのだ。ゴルゴ13のように「女は一夜限り」という掟(おきて)を持つ彼にとっては、痛恨の極みである。放浪者が家族を持つなんて、あってはならないことだ。

生意気で気まぐれで口ばかり達者なのがティーンエイジャーの娘である。国に危険を及ぼす悪の組織に正義の鉄ついを下そうとしているのに、彼女が現れたことで計画はうまく進まない。15年間知らずに放置していたという後ろめたさもあり、リーチャーは娘を持て余す。

「ダッジ・デュランゴ」
クライスラーの大衆車ブランドである、ダッジの大型SUV。1997年に登場した初代はミドルサイズだったが、2代目よりボディーが大幅に拡大され、シボレーやフォードのライバルに比肩するフルサイズSUVとなった。本作に登場するのは、2010年に登場した3代目のモデルである。


	「ダッジ・デュランゴ」
	クライスラーの大衆車ブランドである、ダッジの大型SUV。1997年に登場した初代はミドルサイズだったが、2代目よりボディーが大幅に拡大され、シボレーやフォードのライバルに比肩するフルサイズSUVとなった。本作に登場するのは、2010年に登場した3代目のモデルである。
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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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