常識を疑え!

私が「スタッドレス通年使用」というスタイルの存在を知ったのは、20年ほど前だ。それは、「ハイヤーがスタッドレスを履きっぱなしで、1年ごとに交換している」というものだった。

当時のスタッドレスはトレッドがグニャグニャに柔らかかったので、乗り心地は超ソフト。つまりハイヤー向き。突然の雪にも対応できる。通年使うと1年くらいしか持たないが、次の冬が来る前に新品にすれば雪上性能も確保できる――という、実に合理的な考え方だった。

といっても、当時それをマネしようなどとはもちろん思わなかった。あのころのスタッドレスはそれこそ全面的に腰砕けで、ドライ路面を走るのは苦痛以外の何物でもなかったし。
その後スタッドレスは年々進歩を遂げ、アイスバーン性能を競う一方で、グニャグニャ感も徐々に消滅。ドライブフィールはサマータイヤにどんどん接近していったが、それでも「スタッドレスは冬だけ履くもの」という常識は消えなかった。

それを覆したのは、弊社スタッフのマリオ高野であった。なんと某サイトにて、愛車「インプレッサ」でスタッドレスタイヤを夏季約6カ月間使用するテストを始めたのだ!

結果は、2.3万kmを走破して摩耗は約2mm(前輪。後輪はこの6割程度)。つまり、履きっぱなしで4万km走っても5分山が残っている計算だ。意識高めに5分山を交換時期としても、年間1万kmなら4年持つ。サマータイヤとあんまり変わらんやんけ!

しかも驚くべきことにその企画、タイヤメーカー側(ダンロップ)が積極的にタイヤを提供してのものだった。メーカーも、「耐摩耗性はノーマルタイヤと変わりません」と豪語するまでになっていたのである。

マリオ高野氏と愛車の「スバル・インプレッサG4」。
マリオ高野氏と愛車の「スバル・インプレッサG4」。拡大
スタッドレスタイヤの夏季テストは4月から10月までの約6カ月間。夏場、草野球に行く際にも問題なく使用できた。
スタッドレスタイヤの夏季テストは4月から10月までの約6カ月間。夏場、草野球に行く際にも問題なく使用できた。拡大
テスト終了後も、スタッドレスタイヤは健在。そのまま冬場の雪道に突入したが、グリップ力が衰えることはなかった。(写真=池之平昌信)
テスト終了後も、スタッドレスタイヤは健在。そのまま冬場の雪道に突入したが、グリップ力が衰えることはなかった。(写真=池之平昌信)拡大
「インプレッサG4」に装着されたダンロップ製スタッドレスタイヤ。6カ月間で2.3万km走破し、磨耗状況を計測したところ、約2mmだった。(写真=池之平昌信)
「インプレッサG4」に装着されたダンロップ製スタッドレスタイヤ。6カ月間で2.3万km走破し、磨耗状況を計測したところ、約2mmだった。(写真=池之平昌信)拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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