時代は“フェア男”を求めてる!?

リニューアルされていたのはショールームだけではない。そこで働くスタッフのメンバー構成もしかりだ。

2階にディスプレイされていた「セレナ」の半自動運転機能を丁寧に解説してくれたのは、日本語も極めて流ちょうな中国語対応スタッフだった。しかも、ボクが訪れたときに1階のメインとなる受付にいたのは女性ではなく、数名の若いイケメン男性であった。ボクは従来のミス・フェアレディにちなんで、勝手に彼らを「ミスター・フェア男」と名付けた。

考えてみれば、女性ドライバーが増加し、さらに家族でも女性がクルマ選びのキャスティングボードを握る今日になってなお、ショールームの顔として男性がいなかったほうが不思議だった。欧州のモーターショーでは近年、ブランドによっては車両説明ができる男性コンパニオンを増員している。そうしたことからも、男性スタッフの充実は時流にのったものであり、歓迎すべきだろう。

欧州の主要メーカーはどうかといえば、ボクが知る限り、主要都市において、これほど街の中心に大型ショールームはない。パリ・シャンゼリゼ通りにあるプジョーの「アトリエ・プジョー」は狭いし、同じくシャンゼリゼのシトロエンの「C42」は、ほとんど通りの端っこだ。トリノやミラノのFCAショールーム「モーターヴィレッジ」は、タクシーでなければ行きにくい立地である。自動車ショールームの目的のひとつは、クルマにまだ乗っていない人にその魅力を訴求することである。そうした意味で、都会のど真ん中にあるNISSAN CROSSINGの存在意義は高い。

そのNISSAN CROSSINGで、いい場所を見つけた。2階に設けられた巨大な窓だ。年を取ったら、銀座の木村屋で買った酒種あんぱんをかじりながら、そこから4丁目交差点を見下ろして、行き来するクルマを見るのを今から楽しみにしている。

そのころには、自動運転車が巧みな動きで往来しているに違いない。うっかり「日産ギャラリー」などと口にして、いまだJRを「国電」と呼んでしまうおじさん同様、笑いの種にならぬよう気をつけなければ……。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)

銀座4丁目交差点を通りがかる人が、少なからず、展示車にレンズを向ける。
銀座4丁目交差点を通りがかる人が、少なからず、展示車にレンズを向ける。拡大
NISSAN CROSSINGが1階と2階に入った銀座プレイス。クライン ダイサム アーキテクツが外観デザインを担当した建物は、サッポロのグループ企業と、和服のつゞれ屋との共同事業である。
NISSAN CROSSINGが1階と2階に入った銀座プレイス。クライン ダイサム アーキテクツが外観デザインを担当した建物は、サッポロのグループ企業と、和服のつゞれ屋との共同事業である。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

あなたにおすすめの記事
新着記事