水上で繰り広げられる“静かな駆け引き”

土曜日のレースを観戦用ボートで海上から観戦しました。どのチームのヨットも速いです。ま、世界で一番速いヨットを見ているわけですから当然ですが。印象的なのは静けさ。F1なりエアレースなり、自分のなかにスピード=エンジン音という先入観がありますが、それを打ち破る静かなスピードレースでした。水を切り裂く音と風によってマストがはためく音しかしません。

乱暴に言えば、横からの風を受けて進むもので、風向とヨット(マスト)の角度の関係こそがキモです。例えば、次のブイなどの目標に対し、最短距離で進むより角度を付けて遠回りしたほうが、距離は伸びるが(風をうまく受けられるため)時間的に早い……といった戦術や、敵の風上に位置して敵に風を当てないといった駆け引きが、あの優雅に見える静かな集団の中で繰り広げられていると思うと、ヨットレースについてもっと深く知りたいと思えてきます。

ランドローバーBARのCEOはマーティン・ウィットマーシュ。F1チームのマクラーレンの代表だった人です。土曜日のレース後、いくつかの質問を受け「アメリカズカップで一番重要なのはエアロダイナミクスだが、F1と似ていて、セーラー、チーム、ヨットのパッケージがそろわないと勝てない。ワンメイクだが、総合的にはF1よりもチームの自由度が高い。開発費を含め約1億1000万ポンド(150億円)をかけている」などと答えた後、ちょっと思わせぶりな表情で「F1の後、クリーンな世界に来られてうれしい」と述べていました。F1時代、つらかったのかな?

ヨットレースがF1やエアレースと違うのは静けさ。水を切り裂く音と、風でマストがはためく音しかしない。
ヨットレースがF1やエアレースと違うのは静けさ。水を切り裂く音と、風でマストがはためく音しかしない。拡大
水上では“静かな駆け引き”が繰り広げられる。
水上では“静かな駆け引き”が繰り広げられる。拡大
アメリカズカップで一番重要なのはエアロダイナミクス。しかし、「F1と似ていて、セーラー、チーム、ヨットのパッケージがそろわないと勝てない」と、ランドローバーBARのウィットマーシュCEO(左)は語る。(写真=塩見 智)
アメリカズカップで一番重要なのはエアロダイナミクス。しかし、「F1と似ていて、セーラー、チーム、ヨットのパッケージがそろわないと勝てない」と、ランドローバーBARのウィットマーシュCEO(左)は語る。(写真=塩見 智)拡大
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