メタボ太りは禁物

もうひとつのスナップは、ポーランド人のルーカス君である。現在、技術学校に通うクルマ好き青年だ。
彼の左腕には「アウディ・スポーツクワトロS1」のグループB仕様が彫られている。「またなんでクワトロ?」と聞けば、免許を取得して2台めの愛車が「アウディ80」だったからという。

別れた彼女の名前がタトゥーで残っているのも悲しいだろうが、すでに手元にないクルマに関連したタトゥーも悲しくないか? と思ったボクだが、ルーカス君はまったく意に介していない。
その証拠に、次は現在乗っている初代「スマート・フォーツー」2001年型をもう片腕に彫ることを考えているそうだ。彼が将来、クルマ遍歴を重ねるたび彫ってゆくと、いつか歩くモーターショー状態になるだろう。

このまま自動車タトゥーが流行すると、クルマ雑誌不振で仕事が減った自動車イラストレーターで彫り師に転身する人が出てくるかもしれない。

おっと、それより心配なのは彫った人の体型変化である。前述のDS/IDやクワトロなら個性的なカタチをしているのでさほど問題ない。しかし若いうちに「フォルクスワーゲン・ポロ」や「BMW 3シリーズ」のタトゥーを入れた人は気をつけほうがいい。後年メタボ太りして絵柄が伸びてしまったとき、仲間から「あれ、お前のタトゥー、ゴルフだったっけ?」とか「5シリーズに変わっちまったじゃねえか」などと笑いものにされる恐れがあるからだ。

(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)

ルーカス君の左腕には「アウディ・スポーツクワトロS1」が。
ルーカス君の左腕には「アウディ・スポーツクワトロS1」が。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

あなたにおすすめの記事
新着記事