マスプロダクトとしては、失格

さてさて、前後編に分けてバイパーのインプレッションなるものに挑戦してみた記者であるが、こうして文字に起こして、俯瞰(ふかん)して、あらためて分かったことがけっこうある。

たぶんこのクルマ、マスプロダクトとして見たら完全にアウトです。

というか、そもそもバイパーはマスプロダクトなんかじゃ全然ない。米国のオーナーズクラブのウェブサイトを拝見したところ、その生産台数は1994年の一番多い時期でさえ、年産3000台をちょっと超える程度だった。わがバイパーが生産された2000年の年産は、各モデル合わせて2000台強。過日お世話になった『Goo-net』のカタログページにも、「毎日13台だけが製造されるスペシャルモデル」と記述がある。ようするに、このクルマはほぼ手作りの少量生産モデルだったのだ。それを思うと、前編で紹介したもろもろの“デキの悪さ”もうなずける。

一方で、運動性能的にはかなり真面目で、“V10ありきのクルマ”ではあるものの“V10だけのクルマ”ではない。ぐいぐい曲がるしきっちり止まる、ちゃんとしたマトモなスポーツカーだ。
よく昨今のアメ車の進化を見て、したり顔で「かの地のクルマも欧州車に学び、最近ようやくちゃんと走るようになった」的なことをおっしゃる人がいるが、ぜひラベンダーでもキメて世紀末へトリップし、現役当時のこのクルマに試乗していただきたい。それで同じことが言えるか、あらためて意見をうかがいたいもんである。

もっとも、こうした走りに対するコダワリは、たいていの場合、実用性や機能性とのトレードオフである。既述の通り、バイパーの軸重は後ろの方が重いのだが、そうするためにどれほど無理な設計としたかは素人でもまあ察しがつく。少なくとも「C5コルベット」はここまで不自然なドラポジではなかったし、ここまで熱くなかったし、ここまで荷室が狭くなかった。バイパーは、マスプロダクトとしての可否より、“旋回性能と蹴りアシが命”なクルマだったんだろう。

箱根小田原本線の終点に位置する、大観山の駐車場にて。
箱根小田原本線の終点に位置する、大観山の駐車場にて。拡大
見よ! この「すき間」と呼ぶには大胆すぎるドアピラーとインナーパネルのすき間を! 仮に、ラインオフ時からこうだったわけじゃないとしても、経年劣化でこんなガバガバになるというのも問題だと思う。
見よ! この「すき間」と呼ぶには大胆すぎるドアピラーとインナーパネルのすき間を! 仮に、ラインオフ時からこうだったわけじゃないとしても、経年劣化でこんなガバガバになるというのも問題だと思う。拡大
芦ノ湖スカイラインは三国峠の駐車場より富士山を拝見。この日の午後は雲が少なく、写真の通り絵に描いたような富士山を拝むことができた。
芦ノ湖スカイラインは三国峠の駐車場より富士山を拝見。この日の午後は雲が少なく、写真の通り絵に描いたような富士山を拝むことができた。拡大
こちらは県道401号の終点に位置する、乙女駐車場からの富士山。眼福、眼福。
こちらは県道401号の終点に位置する、乙女駐車場からの富士山。眼福、眼福。拡大
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