真面目青年vs富豪老人の砂漠サバイバル

ハッピーな映画の後は、とっても怖い映画『追撃者』を。『ウォール街』のゲッコーがまだ生きていて、相変わらず冷酷なクソ野郎だったという話である。というのはウソだが、マイケル・ダグラスが富豪役だと誰もがあの映画を思い出してしまうだろう。

ラスベガスの南に位置するモハーベ砂漠でガイドをしている若者ベン(ジェレミー・アーヴァイン)に、保安官から仕事の依頼があった。富豪の老人マディックの狩猟ガイドである。狩猟の解禁前なのに、特別な許可を得ているというのがどうも怪しい。

マディックのクルマに同乗し、砂漠に向かうことになった。携帯電話では中国語で投資について話している。会社を売る交渉をしているらしい。彼が乗っているのは「メルセデス・ベンツG63 AMG 6x6」。「50万ドルのクルマだ。アメリカに1台しかない」とか言って自慢するマディックは本当に嫌な野郎だ。

ベンが獲物を探していると、マディックが待ちきれずに丘の上に向けて発砲した。現場に行くと、血を流して倒れていたのは人間である。マディックは警察に通報しようとするベンに銃を向け、パンイチになるように命じた。砂漠の暑さで倒れたら犯人に仕立てるつもりなのだ。

圧倒的に不利な状況だが、砂漠はベンの庭である。あちこちに隠された仕掛けを使い、マディックを出し抜こうとする。でも、金持ちサイコ野郎はしぶとい。どこまでも追いかけ、しつこく攻撃してくるのだ。

ベンの愛車は40年以上前の「シボレー・ブレイザー」だ。金はないが、彼には根性がある。愛する女性がいる。真面目に人生を歩もうとするベンが虚飾にまみれたいけ好かないオヤジに勝利する時、観客は心から快哉(かいさい)を叫ぶのだ。

(文=鈴木真人)

『追撃者』(DVD)
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「メルセデス・ベンツG63 AMG 6x6」
「Gクラス」をベースにした6輪の全輪駆動車で、AMG製の5.5リッターV8ツインターボエンジン(544ps)を搭載する。飛び抜けたオフロード性能とゴージャスな内外装を兼ね備えたモデルで、わずか100台ほどしか販売されなかった。
「メルセデス・ベンツG63 AMG 6x6」
	「Gクラス」をベースにした6輪の全輪駆動車で、AMG製の5.5リッターV8ツインターボエンジン(544ps)を搭載する。飛び抜けたオフロード性能とゴージャスな内外装を兼ね備えたモデルで、わずか100台ほどしか販売されなかった。拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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