BMW M4 GTS(FR/7AT)
史上最も痛快な“M” 2017.01.10 試乗記 BMW M社が、そのモータースポーツテクノロジーを集約して開発した“公道走行も可能”なレーシングマシン「BMW M4 GTS」。巨大なリアスポイラーに、室内から鈍い光を放つロールバーなど、見た目からしてただ者ではないモンスターマシンの走りをリポートする。“水”の力で500ps
世界限定700台。日本への割り当ては、イギリスと同じ30台。レーシングカー仕立てのM4が、M4 GTSである。
MotoGPのペースカーとしてデビューを飾り、市販モデルとしては2015年10月の東京モーターショーで世界初公開。2016年4月に国内発売されるや、1950万円という価格にもかかわらず、すぐに売り切れた。
すでに買えないクルマだが、年の瀬になって、1台の試乗車が配備されたという報を受けて、いそいそとBMWジャパンの地下駐車場へ赴く。
外観で最も“GTS”らしいのは、アルミとカーボンで建立されたリアウイングである。クーペボディーのフォルムが端正なだけに、正直言って、取って付けたように見える。
だが、このクルマの核心は、ウイングが付くトランクリッドの中にある。トランクの床板をめくると、水タンクと電磁ポンプが現れる。市販車としては世界で初めて、エンジンにウオーターインジェクションシステムを採り入れたのがM4 GTSである。
インテークマニフォールド内のサージタンクに、インジェクターから水を噴射して吸気温度を下げ、結果的に燃焼効率を高め、CO2も減らす。ノーマルM4クーペに載る431psの3リッター直列6気筒ツインターボを500psにまでパワーアップさせた立役者が、ボッシュ開発のウオーターブーストである。