ガレージ入庫のルーティーン

ウルフの父親は、周囲の人間とは違うことで彼が将来苦労するのではないかと心配し、一人で生き抜けるよう特訓する。職業軍人だから、指導は厳しい。弟と素手で殴り合うように命じ、倒れてもすぐに立ち上がらせて試合を続行する。格闘技の師匠はシラットの達人だ。東南アジアに古くから伝わる実戦重視の武術である。

ウルフは飛び抜けた集中力を生かして会計士になり、鍛え上げた肉体と武闘能力で殺し屋としてもトップに立つ。普段は死んだ目をした感情を見せない無愛想なオヤジだが、時に荒ぶる暴力性を解放するのだ。ヒーロー像としてはこれまでになかった造形で、ベン・アフレックのアンバランスなキャラクターが生きる。

彼の日常はルーティーンで埋め尽くされている。食事はパンケーキと目玉焼き、ベーコンを規則正しく並べたものだ。決まった時間に爆音でロックを聞きながらスネ毛の手入れをする。通勤に使うのは「フォードF-150」で、交通規則を守って安全運転するのは当然だ。家が近づくとリモコンのスイッチを押し、ガレージのシャッターが開くと同時にクルマを滑り込ませる。

ウルフは反社会的勢力のマネーロンダリングを請け負いながら、一般企業の仕事も引き受けていた。闇社会だけを相手にしていると怪しまれるからだ。ハイテク義肢や無人兵器を製造するリビング・ロボティクス社から、経理の不正を調査するよう依頼される。彼は超人的な集中力を発揮して帳簿の偽装を暴き出すが、途中で調査終了を通告されてしまった。

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
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第139回:F-150で通勤する会計士は腕利きの殺し屋だった!?『ザ・コンサルタント』の画像拡大
 
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「フォードF-150」
「Fシリーズ」は1948年から造られているフォード伝統のピックアップトラック。「F-150」は1975年から登場している。全幅2m超、全長5m超のビッグサイズだ。映画に登場するのは先代モデル。
「フォードF-150」
	「Fシリーズ」は1948年から造られているフォード伝統のピックアップトラック。「F-150」は1975年から登場している。全幅2m超、全長5m超のビッグサイズだ。映画に登場するのは先代モデル。拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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