反ビッグスリーの探偵はアメ車に乗らない

スクリーンには良き時代のアメ車が多数登場する。シボレーの「カマロ」「コルベット」「インパラ」、ダッジの「チャレンジャー」「コロネット」、フォードの「マスタング」「マーヴェリック」など。ポンティアックの「GTO」「ファイヤーバード」、キャデラックの「クーペ ドゥビル」「エルドラド」も走っていた。ヒーリーが乗っているのはちょっと古い「オールズモビル・トロネード」である。

しかし、マーチの愛車は「メルセデス・ベンツ280SEコンバーチブル」。ビッグスリーに立ち向かう役なのだから、アメ車に乗るわけにはいかない。反公害運動を支持するアメリアも「フォルクスワーゲン・タイプ181」というマニアックなクルマに乗っていた。

登場人物は、みんな70年代ファッションを身にまとう。男も女もセクシーさを競うのにためらいがない。ジャケットの襟は大橋巨泉並みの広幅だ。キャンパスにはベルボトムジーンズをはいたヒッピースタイルの学生がたむろしている。集団で地面に寝転がっているのは、ダイ・インというパフォーマンス。プラカードには「SMOG KILLS」とメッセージが書いてある。大気汚染がひどくて人も動物も死んでしまうとアピールしているのだ。あの頃は、日本でも毎日のように光化学スモッグが発生していた。

マーチとヒーリーは映画『ポルノッキオ』の完成を祝うパーティーに潜入する。セクシーな衣装に身を包んだ女性たちがEW&Fの演奏に合わせて踊り、プールには半裸の人魚が泳ぐ。部屋の中に漂う煙はマリファナに違いない。ハードコアポルノは大産業となっており、金まわりがよかったのだ。

(c)2016 NICE GUYS, LLC
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第141回:メルセデスに乗る探偵がビッグスリーの陰謀に挑む『ナイスガイズ!』の画像拡大
 
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「メルセデス・ベンツ280SEコンバーチブル」
1959年に登場したメルセデス・ベンツのフラッグシップモデルがW111シリーズ。セダン、クーペに加えオープンモデルも用意されていた。映画でマーチが乗っているのは、1967年から販売された2.8リッターエンジンを搭載するモデル。
「メルセデス・ベンツ280SEコンバーチブル」
	1959年に登場したメルセデス・ベンツのフラッグシップモデルがW111シリーズ。セダン、クーペに加えオープンモデルも用意されていた。映画でマーチが乗っているのは、1967年から販売された2.8リッターエンジンを搭載するモデル。拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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