パリで憧れのラゴンダに再会

2017年2月初旬のことである。パリでヒスリックカーショー「レトロモビル」が催された。メインイベントのひとつであるアールキュリアル社のオークションでは、154台の車両がカタログに掲載された。内覧会場には、“今年のスター”であるピニンファリーナの1966年「ディーノ206ベルリネッタ スペチアーレ」をはじめ、出品車がところ狭しと並べられていた。

それらの間を縫って散策していたときである。突如、低く身構えた1台のクルマが目の前に現れた。そう、あのアストンマーティン・ラゴンダ シリーズ2だった。

分厚いオークションカタログを開いてみる。クルマは1981年型で、新車時にモナコに納められ、現在はオークションハウス関係者のもとにあるという。

大胆なウエッジシェイプが取られたフロントフード、ナイフで切り落としたようなボディーサイドは、イメージスケッチをそのまま実車にしてしまったようで、今見ても十分魅力的だ。

実をいうと、ラゴンダ自体は数年前、英国のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで目撃したことがあったが、そのときは囲いが設けられていて、ドアにはしっかりとロックが掛けられていた。

今回は、ビッダーの下見用に開放されている。昔憧れた上級生の女子に思いがけず出会ったような感動に包まれながら、思わず近寄る。そして中をのぞくと、初期型の特徴であるフラットなタッチパネルが並んでいる(後期型では、メーターナセルのデザインもろとも、凡庸なスイッチに改変されてしまった)。

「アストンマーティン・ラゴンダ」のATは、クライスラー製のトルクフライト3段。自動変速機に信頼できる米国製を用いるのは、当時はよく見られた選択であった。
「アストンマーティン・ラゴンダ」のATは、クライスラー製のトルクフライト3段。自動変速機に信頼できる米国製を用いるのは、当時はよく見られた選択であった。拡大
ステアリングコラム右側のフラットパネル。操作ボタンが整然と並ぶ。
ステアリングコラム右側のフラットパネル。操作ボタンが整然と並ぶ。拡大
リアスタイル。古典的な高級感はなくとも、端正な雰囲気が漂う。
リアスタイル。古典的な高級感はなくとも、端正な雰囲気が漂う。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。19年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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