トヨタもたじたじの手厚いサービス

ところでライバルのトヨタ・プリウスはイタリアで、一般ユーザーだけでなくタクシーの需要も開拓してきた。大都市を擁する州がかつて設けた、プロドライバー向け環境奨励金制度を追い風にしたものだった。アイオニックも同様にタクシー需要を狙うのか?

それに対するマッシモ社長の答えは「ノー」だった。「(ハイブリッドの)タクシーは、もはやトヨタの寡占状態です(笑)。アイオニックについては、環境志向の個人ユーザーを中心にアピールしていきます」

一般ユーザーに対しヒュンダイのイタリア法人は、トヨタ製ハイブリッド車とのどのような違いを強調してアイオニックの拡販を図ろうとしているのか? その質問に対して、マッシモ社長はわかりやすく説明してくれた。

「ひとつは価格です」

イタリアでプリウスは、税込み2万9250ユーロ(約350万円)からという価格設定だ。対してアイオニック ハイブリッドは税込み2万4900ユーロ(約300万円)から買える。

2つめは、7段シーケンシャルギアボックス。プリウスのCVTよりもファン・トゥ・ドライブである点を強調するという。

そして3つめのセールスポイントは、メーカー保証の長さだ。「ヒュンダイの他モデル同様、5年で走行距離無制限」なのだ。参考までにいうと、プリウスを含むトヨタ車のメーカー保証は、イタリアでは「3年もしくは10万km」である。

日本では想像しにくいかもしれないが、イタリアでは年間3万km以上走ってしまうユーザーが少なくない。そうした点で、ヒュンダイのオファーは、この国のユーザーにとって、かなり魅力的であることはたしかだろう。 

「加えて」マッシモ社長は続ける。「バッテリー部分(リチウムイオンポリマー電池)は8年もしくは走行20万kmまでメーカーが保証します」。一方プリウスは、「ハイブリッドシステムについては5年もしくは10万km」という設定だ。

マッシモ社長の執務室兼商談ルームで。
マッシモ社長の執務室兼商談ルームで。拡大
「アイオニック ハイブリッド」のインテリア。センターコンソールのセレクターレバーの奥には、モバイル機器のワイヤレス充電プレートも用意される。シートは硬め。質感は従来のヒュンダイ車の質実剛健さを知っている人なら、十分納得できるレベル。
「アイオニック ハイブリッド」のインテリア。センターコンソールのセレクターレバーの奥には、モバイル機器のワイヤレス充電プレートも用意される。シートは硬め。質感は従来のヒュンダイ車の質実剛健さを知っている人なら、十分納得できるレベル。拡大
ほかのヒュンダイ車と同じく、「アイオニック ハイブリッド」にも5年走行距離無制限のメーカー保証が付帯する。
ほかのヒュンダイ車と同じく、「アイオニック ハイブリッド」にも5年走行距離無制限のメーカー保証が付帯する。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など数々の著書・訳書あり。

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