氷の上なのにムルシエラゴ?

『アイスブレイク』とサブタイトルが付けられていることからわかるように、氷上で最後の対決が行われる。チームの面々は、用意されたたくさんのクルマの中から好みの1台を選んで決戦に臨む。超高速戦車の「リプソー」は正しいチョイスだ。150km/h以上のスピードを出す能力があり、無限軌道は滑りやすい氷の上でもトラクションを確保できる。

「スバルWRX」を選んだのも納得がいく。水平対向エンジンと4WDの組み合わせは、電子制御によって高い操作性を実現している。コンパクトなサイズも有利に働き、アジリティーを生かして敵の攻撃をかわすに違いない。「ランボルギーニ・ムルシエラゴ」という選択はどうだろうか。確かに4WDではあるものの、あまりにも車高が低すぎる。アイスランドの氷は表面が荒れているようだから、ボディー下面が当たって亀の子になるのがオチだろう。

もっとどうかしているのはドムだ。いつも通り「ダッジ・チャージャー」に乗って登場する。ベルリンでは最新型の「ダッジ・チャレンジャーSRT」に乗っていたのに、なぜここで1960年代のモデルを持ち出すのか。もちろんドムの腕ならFRであろうと自在にコントロールできる。ABSやESCなどという小ざかしい装備は必要ない。巨大な原子力潜水艦にだって真っ向から勝負するのがこの男なのだ。

シリーズは後2作が予定されていて、2021年の第10作でフィナーレを迎えるらしい。次は潜水艦以上の敵を登場させなければならず、最終作では宇宙からの侵略者と戦うことになるかもしれない。それでもドムはチャージャーで立ち向かうことだろう。『ワイルド・スピード』とは、ドムがドライブするチャージャーが最強であることを前提にした世界なのである。

(鈴木真人)
 

© Universal Pictures
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『ダッジ・チャージャー』
1966年に発売されたダッジブランドのマッスルカー。上級モデルは7リッター級のV8 OHVエンジンを搭載し、400馬力を超えるハイパワーを誇った。1970年代に入るとオイルショックの影響でパワーダウンを強いられる。1987年に生産を終了していたが、2005年に4ドアセダンとなって復活した。
『ダッジ・チャージャー』
	1966年に発売されたダッジブランドのマッスルカー。上級モデルは7リッター級のV8 OHVエンジンを搭載し、400馬力を超えるハイパワーを誇った。1970年代に入るとオイルショックの影響でパワーダウンを強いられる。1987年に生産を終了していたが、2005年に4ドアセダンとなって復活した。拡大
『ワイルド・スピード ICE BREAK』
2017年4月28日(金)より全国ロードショー
提供:東宝東和
『ワイルド・スピード ICE BREAK』
	2017年4月28日(金)より全国ロードショー
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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