「ヨーグルト」「サメ」と呼ばれたあの名車

再び先代フィアット500に話を戻せば、同車はフランスでは「pot de yaout=ヨーグルト瓶」と呼ばれていた。ルーフが蓋(ふた)、代表的塗色であった白いボディーは、まさに瓶に見えたのだろう。

イタリア人も負けていない。イタリアでは元祖「シトロエンDS」を「Squalo(スクアーロ)」という愛称で呼んでいた。スクアーロとはサメのこと。言われてみれば、特に後期型はサメにそっくりだ。デザイナーのフラミニオ・ベルトーニは、魚の姿をよく研究していたといわれるから、かなり的を射たニックネームといえる。

これらは、ユーモラスなフォルムが多かった昔のクルマと、クルマに対する関心が今よりもはるかに高かったヨーロッパ人のなせる業である。

とまぁ、あれこれつづってきたが、家庭内ではフィアット500を「チンチェン」、メルセデス・ベンツを「メルベン」、そしてBMWを(その略称の元がBayerische Motoren Werke=バイエルン発動機製作所であることから)「バイハツ」と、よそでは通用しない略称を平然と使っている己が情けない。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也) 

フランスで「ヨーグルト瓶」と呼ばれる「フィアット500」。同じヨーグルトでも、味が付いていないプレーンに見えるのは、筆者だけか。
フランスで「ヨーグルト瓶」と呼ばれる「フィアット500」。同じヨーグルトでも、味が付いていないプレーンに見えるのは、筆者だけか。拡大
初代「シトロエンDS」は、イタリアで「サメ」と呼ばれていた。これは、テレビ番組『ザ・メンタリスト』の劇中車。
初代「シトロエンDS」は、イタリアで「サメ」と呼ばれていた。これは、テレビ番組『ザ・メンタリスト』の劇中車。拡大
これは、ミュンヘンにあるBMWの歴史車両部門「BMWグループクラシック」の社屋。創業期の建物のひとつを用いている。
 
これは、ミュンヘンにあるBMWの歴史車両部門「BMWグループクラシック」の社屋。創業期の建物のひとつを用いている。
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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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