&nbsp「ホンダ・シビック」の影を薄くしたアイツ

なんで今まで、こういうアイデアがなかったのか? つまり「やられたー」と感心したものも多々ある。【写真10】は今回会場で発表されたフィアットの新型「パンダ」である。例のツインエアエンジン搭載をうたうためのディスプレイで、エンジンが出たり引っ込んだりするわけでなく固定だが、2気筒のコンパクトさがよくアピールされている。こういう誰でも考えそうでやらなかったディスプレイには賞賛を送りたい。

報道関係者公開日の茶菓にも同様のものがあった。【写真11】は地球の裏側でフォルクスワーゲンとの提携解消を決めたスズキが用意したフレッシュジュースのスタンドである。日本のデパ地下ならどこにでもあるが、意外に欧州のショーで前例がなく、各国の記者たちに好評を得ていた。「マンゴ・スイフト」「マンダリン・アルト」といったメニューのため、注文するとき、スズキファンでなくても車名を口にしなくてはいけない。

【写真12】はマツダのブースに記者発表のあと置いてあったものだ。ドイツ名物のプレッツェルであるが、よく見ると、同社のシンボルマークになっている。これも、ありそうでなかったネタである。フォルクスワーゲンの「ソーセージ用ケチャップ」には及ばなくても、「スバル最中」に対抗できると思う。

意外な展開になっていたブースもある。ホンダだ。ご存じのとおり、今回は新型「シビック」が最大の話題という設定だった。しかしどうだ。ステージで「ASIMOショー」が始まると、みんなそちらに集中してしまう。一般公開日ではなく、報道関係者公開日である。コンパニオンまで仕事を忘れて階段を上るASIMOに見入ってしまっている。三脚付きビデオカメラで撮影しているメディアも複数いる(写真13)。
日本でASIMOといえばテレビで紹介されたうえ、週末には地方のホンダ販売店でデモが行われ、もはや有名人になりすぎた感がある。しかし、ジャーナリストでさえなかなか本物を見る機会がない欧州では、まだまだ相当な訴求力・集客力がある。ASIMOあっぱれだ。

【写真10】新型「フィアット・パンダ」のポップアップしたツインエアエンジン。
【写真10】新型「フィアット・パンダ」のポップアップしたツインエアエンジン。 拡大
【写真11】デパ地下をほうふつとさせるスズキのフレッシュジュースのスタンド。
【写真11】デパ地下をほうふつとさせるスズキのフレッシュジュースのスタンド。 拡大
【写真12】ありそうでなかった、マツダマークのプレッツェル。
【写真12】ありそうでなかった、マツダマークのプレッツェル。 拡大
【写真13】たとえ報道関係者公開日でもこのとおり。ASIMOは今も人気者。
【写真13】たとえ報道関係者公開日でもこのとおり。ASIMOは今も人気者。 拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。20年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

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