見る目が問われる日本のユーザー

ただし、これは正規ディーラーだけの責任ではない。別の中古車ディーラーは言う。「コストダウンだけでなく、環境破壊、エコの問題も大きいんですよ。特にドイツはこの手にうるさいんで、最近大手メーカーが率先してオイル交換時期を遅らせてるじゃないですか。BMWの一部車両なんて2万5000kmですよ」。

そのほか、どのメーカーでも最初の1000kmでのオイル交換が不要なのは、ほぼ当たり前。その昔「最初はギア同士が当たって鉄粉が出るから、初期のオイル交換は絶対にすべき」とか「慣らし運転は、クルマ好きなら当然」と言われていたのがウソのようで、それは「クルマの性能が上がってるから」とまことしやかに説明されてきたわけだが、重大な落とし穴があったってわけ。

ただし、これまたメーカー側が一概に悪いわけでもない。
「実際、今のエンジンって工作精度は上がってるし、オイル性能も進化してるんで、欧州で2万kmぐらい走っても油脂はそれほど汚れないんです。涼しいし、1回の走行で走る距離が長いじゃないですか。でも日本の特に東京の場合、夏は暑いし、1回10kmも走らないでエンジン止めちゃう場合もあるでしょ。しかも渋滞天国だから、同じ距離でもエンジン実動時間は倍かそれ以上いく。となると、その分、油脂類の交換もすべきなんですよ」。

日本の道路環境の劣悪さは、世界の非常識。さすがのハイテクドイツ車もそこまでは見込めなかったってわけだ。
技術進化とエコのコストの高度なバランス取り……いままでのクルマにはあり得なかった悩みだけど、これまた時代の変化かもしれない。「安全といわれていた食品が、実は危険だった」みたいなハナシにも似ている。
うーむ結局、現代は現代で人任せにせず、モノを見る目を養わないとつかまされる。そういう教訓かもしれませんねぇ。

(文=小沢コージ)

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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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