フォルクスワーゲンup! with beats(FF/5AT)
驚きのレベルアップ 2017.06.15 試乗記 フォルクスワーゲンのラインナップの中で最もコンパクトな「up!」がマイナーチェンジ。デビューから5年がたち、走りや乗り心地はどのように変わったのか、専用のドレスアップやbeatsのオーディオを特徴とする限定車で確かめた。間違いだらけだったクルマ
いまどき、「間違いだらけのクルマ選び」など存在しない。なぜなら、まるでダメなクルマ(新車)など、そもそも売られていないから。
ここ何十年か、そう思ってきた。しかしついに現れた。間違いだらけのクルマが! それがフォルクスワーゲンup!でした。
2012年の導入時、そのシャシー性能の高さや、シンプルなデザインを絶賛する専門家も多かったが、私はまるでダメなクルマだと思いました。なぜって、低速トルクがとても薄い1リッター3気筒エンジンと、D(AT)モードではトルクバンドに到達する前にシフトアップしてしまいがちな5段ASG(セミAT)の組み合わせが、あまりにも悪かったから。高速巡航では良くても、街中ではいつでもどこでもギクシャクしまくりだった。
例えばゆるゆる前進しつつ、右折のタイミングを待つといったシーン。クルマの合間を見つけ、今だとアクセルを踏むと、回転が低すぎて前に進まない。そこから一拍置いてガックンとシフトダウンが発生するも、あせったドライバーはアクセルを床近くまで踏み込んでおり、予期せぬ加速にのけ反りつつ、今度は急激なハンドル操作と急減速を強いられてクルマの動きはガックガク、といったことになった。私がヘタなだけですか?
これで5段MTモデルがあれば、「それを買えばいい」とも言えたが、日本に導入されたのは5段ASGのみ。逃げ道はなかった。私は現役のセミAT車オーナーだし、セミATが嫌いというわけではない。ただup!のエンジンは、3000rpm近くまで回さないとまともなトルクがわいてこないのが痛すぎた。「M(MT)モードで積極的にドライブすればいい」とも言えるが、それが通用するのはマニアだけ。実態としては、軽からの乗り換えも含め、up!ユーザーは一般ドライバーが多くを占めたから、問題は深刻だった。
もちろん「これが好き」というユーザーも少なくないとは聞く。しかし評価は中古車市場に端的に表れた。買って間もなく嫌気がさすユーザーが少なくないため、市場にはまだ真新しいup!が多数出回り、おかげで下取りは「たったのこんだけ!?」。買い取り業者側も、「この金額で下取って、ホントに売れるかな」とビクビクもんだと聞く。理由は「買う人を選ぶクルマですから」。
その後AGSは小改良を受け多少マトモになったが、やはり五十歩百歩。わざわざこのクルマを買う理由は、私には見つけられなかった。「デミオ」とか買った方が1000倍よかったです。
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