ボルボV90クロスカントリーT5 AWDサマム(4WD/8AT)
遠くまでいくんだ 2017.07.05 試乗記 全長5mに迫る、ボルボの最上級クロスオーバーモデル「V90クロスカントリー」。その“GT性能”を確かめるべく、1000km超のロングドライブを敢行した。北海道から東京まで、1泊2日のグランドツーリングを通して感じた、その魅力とは?「XC70」の後継モデル
6月某日朝9時55分、新千歳空港の駐車場にて、われわれのボルボV90クロスカントリーT5に乗り込む。1泊2日という限られた時間ながら、旅の相棒として1000km以上の移動をこのクルマと過ごすことになる。
V90クロスカントリーはフラッグシップの「S90/V90」シリーズの派生モデルとして、日本では2017年2月に他の2車種と同時に発売となった。ステーションワゴンのV90の車高を55mmアップして悪路での走破性を高めた、いわゆるクロスオーバーで、2001年に登場した、この分野のパイオニア的一台、「XC70」の後継と位置づけられる。
日本仕様はすべてAWD(全輪駆動)で、254psの2リッター4気筒ターボを搭載する「T5」と、スーパーチャージャーを加えて320psにまで強化した「T6」のふたつのガソリンエンジンが選べ、それぞれに装備の違いによって「モメンタム」と「サマム」なる高級仕様の設定がある。
われわれのV90クロスカントリーはT5のサマムで、車両価格は754万円。クリスタルホワイトパールのボディー色に、アンバーと呼ばれるベージュの革シートがおごられている。革は「パーフォレーテッド・ファインナッパレザー」という柔らかい革である。ちなみにナッパレザーというのはワインで知られるカリフォルニアのナパでつくられていた革に由来するそうである。
というようなことはカタログやらをあとから見ながら書いたことでありまして、そうこうしているうちに時間が過ぎてしまったように思われるかもしれないけれど、時刻は依然6月某日朝9時55分。新千歳空港のあたりは雨で、朝だというのに夕方のような薄暗さだった。空港内の屋内駐車場はいっそう暗い。
そういう暗いなか、センターコンソールにある小さな四角いスターターのスイッチを90度ひねってエンジンをかけ、雨の千歳から札幌をとりあえず目指して走りだした。