車両価格の半分がエンジンだったPGC10
第3回日本グランプリでの勝利の直後、1966年8月にプリンス自動車は日産自動車に吸収合併される形で消滅した。しかしスカイラインの開発はそのまま日産で継続され、1968年にはフルモデルチェンジを受けて3代目スカイライン(C10)が登場した。CMキャンペーンから「愛のスカイライン」と呼ばれるようになったモデルである。プリンスの1.5リッターエンジンが受け継がれており、実用的なセダンとして十分な性能を備えていた。一方で、スカGの走りを知る人々の中ではスポーツバージョンに期待する声が高まっていた。
2カ月後に「2000GT」が登場するが、それは想像とは違うクルマだった。6気筒エンジンを搭載していたものの、日産製のL20型だったのである。シングルキャブレター仕様で105馬力という数字は、S54Bを知る者には物足りなかった。待望のマシンは、東京モーターショーで発表された。展示車のノーズに積まれていたエンジンは、R380のGR8型をデチューンしたものだったのである。
1969年2月、「日産スカイライン2000GT-R」が発売された。PGC10のコードネームで呼ばれるこのモデルは、一見すればおとなしい4ドアセダンである。ただ、フロントノーズにはパワフルなS20型エンジンを搭載していた。最高出力160馬力というのは当時としては異例のハイパワーで、何よりもレーシングエンジンの血統を継いでいることが心に響いた。
車両価格は150万円で、2000GTの86万円に比べるととてつもなく高価だった。ヒーターもラジオもついていない状態での価格である。エンジンを単体で買うと70万円だったので、車両価格の約半分にあたる。DOHC 4バルブの直列6気筒エンジンは、それほどの価値を持っていたのだ。
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