ハードトップボディーで連勝記録を伸ばす

ロータリー勢が実力を高めていく中、GT-Rは強力な武器を手に入れる。1970年10月、スカイラインに2ドアハードトップが加わり、GT-RもセダンからハードトップのKPGC10型に変更されたのだ。ドアの数が少なくなっただけではなく、ホイールベースが70mm短縮されていた。この変更がプラスに働き、GT-Rはコーナリング時のバランスが大幅に向上した。車重も20kg軽量化している。

レース用のエンジンにはノーマルとは違う素材がふんだんに使われるようになった。コンロッドやバルブはもちろん、ボルトに至るまで軽量なチタン材が用いられている。KPGC10は1971年3月7日の鈴鹿でデビューし、クラス優勝を果たした。通算37連勝である。その後もGT-Rはロータリー勢との戦いを繰り広げ、ねばり強く勝利を重ねていった。解釈や数え方で多少の増減はあるが、50に限りなく迫る連勝記録を打ち立てたのは間違いない。3年もの間、GT-Rは無敵だった。

1972年にスカイラインはフルモデルチェンジされる。「ケンとメリーのスカイライン」というCMから、“ケンメリ”の通称で親しまれたモデルである。GT-Rを期待する声は強く、翌年1月にハードトップ2000GT−Rがラインナップに加わった。S20エンジンを受け継ぎ、迫力のあるオーバーフェンダーを装備していた。しかし、このモデルがサーキットを走ることはなかった。ボディーが大型化して重量も増加し、ロータリー勢と戦えるだけの性能が得られなかったからだ。

ケンメリGT-Rの製造はわずか4カ月で終了し、総生産台数は197台にとどまった。1973年になるとオイルショックが発生し、スポーツカーは逆風にさらされることになる。GT-Rの名は、次の代のモデルになっても封印されたままだった。良質な実用車としてのスカイラインは売り上げを伸ばしたが、レースでの活躍は過去のものとなった。

1989年、8代目スカイラインのR32でGT-Rが復活する。FRベースの可変4WDシステムと4輪操舵というハイテクで武装した画期的なモデルだった。R33、R34とこの路線が続いたが、2002年に生産が終了した。2007年に登場したのは、スカイラインの名を冠さず単に「GT-R」を車名とするモデルである。ハイテクにはさらに磨きがかかり、素のままでもサーキットで戦えるポテンシャルを持つ。野生の荒削りな激しさを持っていたPGC10とはアプローチの仕方は異なるが、GT-Rは常に独創的なモデルであり続けている。

(文=webCG/イラスト=日野浦 剛)

「スカイライン2ドア ハードトップ2000GT-R」(1970年)
「スカイライン2ドア ハードトップ2000GT-R」(1970年)拡大
1972年の富士300kmレースで優勝した高橋国光の「スカイライン2000GT-R」。この大会がGT-Rにとって記念すべき通算50勝目となった。
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1973年1月に登場した、4代目「スカイライン」の「2000GT-R」。従来モデルとは異なり、レースに投入されることはなかった。
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第2世代「GT-R」のデビュー戦である、1990年の全日本ツーリングカー300kmレースで優勝した星野一義・鈴木利男組の「カルソニック スカイライン」。
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日産グローバル本社ギャラリーに展示される「日産GT-R」の2017年モデル。
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