BMW M2クーペ(FR/6MT)
これぞ本命! 2017.08.14 試乗記 BMWのMモデルならではのスポーツマインドが、最もコンパクトかつピュアな形で表現された「M2クーペ」。遅れて加わった6段MT仕様は、自らの意思で操る、スポーツカーの根源的な楽しさに満ちていた。主役は遅れてやってきた
BMWの直列6気筒エンジンといえばシルキーシックスとうたわれたように、高回転域まで極上の滑らかさで回るエンジンの象徴として君臨した時代もあった。だが、近年の傾向は高回転まで回さずともトルクとレスポンス、そして燃費を重視したチューンに変わってきている。
よってあえて直6にこだわらずV6にしてコンパクトで軽量なエンジンも出現し、それが高級なスペックであるという新たな認識も広まっている。また、変速機の進化もあって加速はより効率的になり、エンジン回転の上昇に頼らずとも「速いクルマ」を実感させる手法が編み出されている。
そんな時代に合わせてBMWもターボ過給を加えて、よりトルクの威力を強調した新スペックの直6を登場させた。M2のリポートとしてはwebCGでも2016年6月にM DCTドライブロジックと呼ばれる7段AT仕様を紹介済みであるが、その際に筆者は「本国仕様は6MTが主流であり、もっと面白いだろう」という希望的観測を述べた。その後、2016年の秋に日本仕様にもMTが登場し、今回いよいよ試乗のチャンスがやってきた。
3リッター直6ターボのエンジンスペックは7ATも6MTも同じで、ロングストロークのターボ過給からなる特性もまた同じ。ゆえに高回転域の面白さは期待薄(?)ながら、大排気量エンジン+MTゆえのダイレクトな感触を味わうことができそうだ。