マジメなV10サウンド

中に座ってまずシビれたのは囲まれ感の強さ。FR車だけあってインストゥルメントパネルが目の前に切り立っているだけでなく、センターコンソールもレクサスならではの操作系満載で切り立っており非常にタイト。造形もダッシュボードとその下が平行になった“2段棚”的構造で、包まれるというより「小さな部屋」に入った感じ。ある意味「茶室」的な落ち着きすら覚えるとでも言いますか。

それからディテールの作り込みだ。ドアノブやレバー、スイッチ類は本当に精緻(せいち)で剛性感も高く、さすがはLFA! 3750万円の価格も納得だけど、実はチタン風パーツの素材は、リアルチタンではなく、その辺りはヨーロッパ車的な本物志向とは全く異なる。

一方、メーターや操作系はヤケにハイテクで、ドライバー前は全体がデジタルモニターになっていて、中央にはデカく1万回転(!!)まで刻まれたアナログ表示のタコメーター、中に分数みたいな、分子部分に時速、分母にギアポジションを表示するデジタル表示が備わり、周りに油温、油圧、ガソリン残量、水温と並んで非常に分かりやすい。このあたりはGT-Rとは違うが、日本のハイテクカルチャーを感じる。

それと走りよね。とにかくシートポジションが低く、ロールは少なく、走り始めから地面をはうよう。だけどその割に乗り心地は良くって、ステアリングフィールもシャープだし、切ったなりに正確に曲がるんだけど過剰なダイレクトさは全く無い。

さらに例のV10よ。とにかくそのサウンドは「裏のスピーカーから鳴らしてんじゃないの(笑)」ってくらいにキモチ良くって、甲高いメカニカルサウンドが、クォォォォォォォン〜♪と全身を突き抜けるんだけど、決して開放的ではない。決定的なのは排気音とのバランスで、最近のV8フェラーリにしろ“走る管楽器”と言いたくなるほど、プォォォォォォォォ〜♪と排気音が響きわたるのにLFAはそれがメカノイズを絶対に超えない。
それはV10の複雑な特徴を出そうとした結果なのかもしれないけど、俺は「マジメな音作りだなぁ」と感じてしまった。きっとメカはメカ、その音を出すのが本来あるべき姿だと思ったのではあるまいか。だけどさぁ……。

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 ホームページ:『小沢コージでDON!』

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