ドイツの狙いはあくまでも中国

さて、筆者は今、本稿をドイツのベルリンで執筆している。ベルリンに滞在している目的は、欧州最大級の家電見本市である「IFA 2017」の取材だ。この手の展示会では、米ラスベガスで開催される「CES」が有名で、最近では自動運転やEVなど自動車メーカーが多数参加している。しかし、こちらIFAでは自動車メーカー色はほぼゼロだ。

ドイツでは、メルケル首相がドイツ国内での次世代車のロードマップを発表しているものの、数値目標を達成する可能性は低いというのが一般的な見方だ。さらに、一連の英仏政府による発表に対して、ドイツ政府とダイムラーは英仏政府の考え方に同調しないとの見解を明らかにしている。

だが、来週に控えたフランクフルトモーターショーでは、ジャーマン3はこぞって新型EVを出展し、それぞれが近年中にEVラインナップを一気に拡充することを表明している。彼らの狙いはたったひとつ。中国でのNEV法(ニューエネルギービークル規制法)に対する対応だ。

中国政府は米カリフォルニア州が1990年に発効したZEV法(ゼロエミッションビークル規制法)について、中米政府間での技術的な協議を進めて、中国版ZEV法の策定を進めてきた。これが2018年中に発効される可能性が高い。NEV法の詳細については割愛するが、要するに各メーカーの販売台数に応じてEVや燃料電池車、またはプラグインハイブリッド車の販売比率を義務付け、それをクリアできない場合は巨額の罰則金を科すというものだ。

アメリカのZEV法はあくまでも州法であり、いくつかの州がZEV法に準拠する姿勢を示しているが、連邦政府としての総括的な法律ではない。一方、中国は世界最大の自動車生産および販売国であり、その国の販売台数全数を対象としたNEV法はZEV法に比べて自動車メーカーに対するインパクトは極めて大きい。

そうした中にあって、中国におけるフォルクスワーゲングループの販売台数の多さや、欧州志向が強い高級車市場におけるメルセデスとBMWのブランド価値を考えれば、ジャーマン3が“中国の政策ありき”のEV事業戦略を立てるのは当然だ。

モーターショーで立て続けにEVのコンセプトカーを発表してきた“ジャーマン3”。間もなく開幕となるフランクフルトショーでも、写真の「MINI エレクトリック・コンセプト」など、新しいコンセプトカーのお披露目がアナウンスだ。
モーターショーで立て続けにEVのコンセプトカーを発表してきた“ジャーマン3”。間もなく開幕となるフランクフルトショーでも、写真の「MINI エレクトリック・コンセプト」など、新しいコンセプトカーのお披露目がアナウンスだ。拡大
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