人とクルマが“ハンドルをやり取りする”ことの難しさ

例えば、レベル3での自動走行中に、ドライバーのあなたが食事をしていると想定してください。右手にハンバーガー、左手にコーヒー。そこでシステムから「運転に復帰して!」と言われたら、ハンドルを握るまでに何秒必要でしょうか? 自動車開発者や研究者のリポートなどでは、短くても4秒、最大で10秒、という数字を見ることができます。

逆に言うと、その間はどんな状況でもシステムにギブアップは許されません。高速道路では、パイロンで走行車線を規制してあり、走行車線が減少するようなシーンがよくあります。クルマの走る環境は、電車と違ってイレギュラーの連続です。すべてとは言いませんが、そのほとんどに対応できるだけの技術が求められます。

ちなみに、日本ではまた別の問題も発生するでしょう。それは「速度のダブルスタンダード」です。日本では法定速度と実際のクルマの流れが大きく異なることがよくあります。例えば、首都高速のほとんどは法定最高速度が60km/hですが、実情は違い、もっと高い速度でクルマは流れています。また通常の高速道路でも、雨や霧などで部分的に50km/hなどに速度が規制されることがありますが、実際にはそこまで速度が落ちていないケースも数多く見られます。
そうした中で、レベル3のクルマが実直に制限速度を守って走るとどうなるか? あまりに速度差が大きいと、かえって危険なことにもなるでしょう。

このように、レベル3の実用化には、法制度、技術、交通環境など、数多くの解決すべき課題が存在します。だからこそレベル3は難しく、そして、それを実現したという新しいアウディA8は「すごい!」と話題となったのです。

(文=鈴木ケンイチ/編集=堀田剛資)


 

アウトバーンにて、自動運転のテストを行う新型「アウディA8」。
アウトバーンにて、自動運転のテストを行う新型「アウディA8」。拡大
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