4種類もの燃費値を表示

しかし、条件を実際の走行に近づけようとすれば、それだけテストも複雑になります。また、自動車産業はワールドワイドなものになっており、複雑な燃費テストを販売国ごとに行うのも、自動車メーカーにとって大きな負担となりました。そうした背景のもと国際連合の下部組織である自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、燃費測定の国際基準が定められたのです。日本が国際基準を導入するのは、そうした国際的な流れに沿ったものだったのです。冒頭のマツダに限らず、2018年10月以降に販売される新型車については、このWLTCモード値の表示が義務化されることになっています。

では、WLTPによるWLTCモード燃費は、実際に、従来のJC08モード燃費とどのように違うのでしょうか。

テストの内容は、JC08モード燃費よりも、冷機状態での走行時間が増えたり、アイドリング時間の割合を減らしたりと、より厳しく、より実際の走行に近づいたものとなっています。そして新しい燃費表示では、信号や住宅等の影響を受ける低速走行を想定した「市街地モード(WLTC-L)」、それらの影響をあまり受けない走行を想定した「郊外モード(WLTC-M)」、高速道路での走行を想定した「高速道路モード(WLTC-H)」の3種類と、それらを平均的な使用時間配分で構成した「WLTCモード」という、合計4種の燃費数値が表示されることになります。

正直、カタログを作成する人や筆者のようなメディア関係者には、面倒くさいという印象もあります。しかし、ユーザー目線で見れば、より現実に近いものになっているのは確かではないでしょうか。例えば、信号が多くてストップ&ゴーを繰り返す市街地と、一定速度で走る高速道路では、燃料消費量が大きく異なります。それを統合してしまえば、市街地走行と高速道路走行のどっちらにも合わない数値になってしまいます。クルマに詳しい人間であれば、市街地と郊外、高速道路を分けて表示してくれた方が、より正確にクルマの燃費性能をイメージすることができるでしょう。私自身は、新しい表示方法は悪くないと思います。しかし、クルマに詳しくない人は、いろいろな数字が表示されるのは煩雑だと歓迎しないかもしれません。

とはいえ、もう移行するのは決まったこと。順応するしかありません。一度慣れてしまえば、後で振り返ったときに「昔は、JC08モードっていう、もっと単純な方法が採られていて、カタログと実燃費の乖離は今よりも大きかったんだよ」ということになるのでしょうね。

(文=鈴木ケンイチ/編集=関 顕也)

 
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