操る楽しさを重視するドライバーへ

士別のテストコースでは、新品のX-ICE3+を履いた「ゴルフ7」で氷雪路でのハンドリングやブレーキングを試すこともできた。ここで印象的だったのは、氷上ブレーキ性能の確かさもさることながら、走る、曲がる、止まるといったクルマの基本動作をしっかり支えるタイヤだ、ということだった。

トレッドパターンを従来製品から引き継ぐX-ICE3+には、X-ICE3に投入されている技術がそっくり継承されている。その技術とは、効果的な除水や強力なグリップなどを実現する「トリプル・エフェクト・ブロック」や、広い接地面を確保しながら接地面圧を路面に均等にかける「マックスタッチ」、あるいはサイプの向きを縦・横・斜めと変化させて多方向にエッジ効果を発揮する「バリアブルアングルサイプ」などである。

ステアリングの中立付近の路面フィールは手元にしっかりフィードバックされ、操舵に対する応答性はシャープすぎず、甘すぎず、ごく自然だ。また、グリップにしても、前後左右の両方向とも、圧雪路ではもちろん氷盤路でも予想以上に確保されている。氷上で意図的にフロントに荷重を移してテールアウトの姿勢を誘っても、その過程は穏やかな動きに終始して、横方向にだらしなく流れていくこともない。“地面をよくかむ”タイヤだ。コントロールのしやすさがとても印象的である。

氷盤路では「日産リーフ」(旧型)でX-ICE3+を試すこともできたが、構造的にガソリン車より重心の低い電気自動車だと、X-ICE3+の基本性能の高さがさらに際立った。操舵に対する追従性は内燃機関車にも増して忠実で、操る面白さを感じたほどだ。また、モーターの起動トルクの大きさゆえに、発進時はトラクションコントロールが過剰に介入してくるかと構えてはいたものの、それも思いのほか小さく、逆に制動時は狙ったポイントより一呼吸、手前で止まるイメージだった。タイヤの基本性能の高さがリーフの運動性能を引き出した形だろうか。

コントロール性の良さはサイドウォールが担うタイヤのケース剛性や、トレッド部のブロック剛性に大きく依存する。路面に接して溶けるまでは、Mチップはコンパウンドの中で硬さを保って剛性維持に寄与するそうで、新素材の効能は、どうやら操る楽しさにも関係しているようだ。

X-ICE3+は、氷の上での安心感に加えて、バランスの良さ、ひいては運転する楽しさをも重視するドライバーにお薦めしたいスタッドレスタイヤである。

(文=webCG 竹下元太郎/写真=ミシュラン)

圧雪路やアイスバーンを織り交ぜたハンドリングコースを行くテスト車両の「フォルクスワーゲン・ゴルフ7」。
圧雪路やアイスバーンを織り交ぜたハンドリングコースを行くテスト車両の「フォルクスワーゲン・ゴルフ7」。拡大
テスト車に装着された「X-ICE3+」のサイズは205/55R16。
テスト車に装着された「X-ICE3+」のサイズは205/55R16。拡大
アイスブレーキ性能だけでなく、今回は「X-ICE3+」のコントロール性の良さ、各性能のバランスの良さが印象的だった。
アイスブレーキ性能だけでなく、今回は「X-ICE3+」のコントロール性の良さ、各性能のバランスの良さが印象的だった。拡大
「X-ICE3+」には「バリアブルアングルサイプ」など、従来製品である「X-ICE3」に投入されている技術がそっくり継承されている。
「X-ICE3+」には「バリアブルアングルサイプ」など、従来製品である「X-ICE3」に投入されている技術がそっくり継承されている。拡大
全面が氷盤路となるアイスハンドリングコースも用意された。テスト車は旧型「日産リーフ」。
全面が氷盤路となるアイスハンドリングコースも用意された。テスト車は旧型「日産リーフ」。拡大
内燃機関車より重心が低い電気自動車は、雪上や氷上でフットワークの良さが光る。コントロール性に優れる「X-ICE3+」とのバランスはいい。
内燃機関車より重心が低い電気自動車は、雪上や氷上でフットワークの良さが光る。コントロール性に優れる「X-ICE3+」とのバランスはいい。拡大
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