中国資本が生かす欧州ブランド

これも2度目の出展だが、前回以上に脚光を浴びたのが、往年のドイツ車ブランドの名前を冠したボルクヴァルトである。

ボルクヴァルトといえば2015年のジュネーブモーターショーでの復活宣言を思い出す。たとえ中国の商用車メーカー・福田汽車の資本であることを知っていても、幻ブランドを復活させたものの、いつのまにか消滅してしまった例を数々見てきたボクとしては、その未来を疑問視したものだ。

しかし、今やボルクヴァルトは、北京郊外の工場に加え、ドイツ・ブレーメンにも生産拠点の設立を計画している。そして「BX5」のプラグインハイブリッドとピュアEV仕様を、ヨーロッパ市場に投入する予定だという。

そもそもボルクヴァルトは、中国系とはいえ、本社所在地は中国国内ではなく、ドイツのシュトゥットガルト。れっきとしたドイツ企業「Borgward Group AG」なのである。

そのボルクヴァルトは今回、「イザベラ コンセプト」を公開した。プレゼンテーションを行ったのは、チーフデザインオフィサーのアンドレアス・ワーミング氏。デンマーク生まれで、かつてMINIおよびBMWのデザイン部門で幹部を務めた人物である。

イザベラとは旧ボルクヴァルトのモデル名にあやかったものだ。リアフェンダーに向かって跳ね上がるラインも、オリジナルのアイコンのひとつを再現したものとワーミング氏は説明する。

プレゼンテーション直後に、BMW時代の元上司で現在はイタリアで後進の育成にあたっているクリス・バングル氏がワーミングに駆け寄り、満面の笑みで祝福したのが印象的だった。そこに漂う空気は、もはや欧州ブランドのそれであった。

「ボルクヴァルト・イザベラ」についてプレゼンテーションを行う、チーフデザインオフィサーのアンドレアス・ワーミング氏。
「ボルクヴァルト・イザベラ」についてプレゼンテーションを行う、チーフデザインオフィサーのアンドレアス・ワーミング氏。拡大
「ボルクヴァルト・イザベラ コンセプト」。プレゼンテーションの直後、チーフデザインオフィサーのワーミング氏に筆者がカラー選択の理由を尋ねると「青い空ですよ」と即座に、それも朗々と答えた。
「ボルクヴァルト・イザベラ コンセプト」。プレゼンテーションの直後、チーフデザインオフィサーのワーミング氏に筆者がカラー選択の理由を尋ねると「青い空ですよ」と即座に、それも朗々と答えた。拡大
「ボルクヴァルト・イザベラ コンセプト」のインテリア。センターコンソールは、思いつきそうで思いつかなかった立体的造形になっている。
「ボルクヴァルト・イザベラ コンセプト」のインテリア。センターコンソールは、思いつきそうで思いつかなかった立体的造形になっている。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

あなたにおすすめの記事
新着記事