中国車の世は十分ありうる

もちろん自動車である以上、総合的な判断項目は、乗って走らせた印象、アフターサービスから数年後のリセールバリューまで、多岐にわたる。だが、WEYが量産モデルとして出品した「VV7S」のインテリアの質感や各部のフィニッシュは、明らかに20年前のヒュンダイを凌駕(りょうが)している。

同時にボクは、9年前のパリモーターショー2008に参考出品された、中国・双環汽車のモデルをとっさに思い出した。その室内は安物のプラスチック臭であふれ、デザインは「BMW X5」に酷似していたことから訴訟沙汰になった。メーカーこそ違えど、WEYのレベルは同じ国のプロダクトとはにわかに信じられないものだ。

話は飛ぶがその昔、オーストラリアに日本車初上陸を伝えたテレビニュースに関する記事を読んだことがある。

リポーターは「あなたも、いつか日本車に乗る日がくるかもしれませんよ」と結んだという。GMホールデン、フォードといったアメリカ車ばりのモデルがのさばっていた当時、ちっぽけな日本車を前に、彼はちょっとしたジョークのつもりだったのだろう。しかし後年、日本車はオーストラリア市場で大きなシェアを占めるに至った。冷笑したその先に、想像を超えた展開が待っている場合がある。

過去20年、ヨーロッパで韓国車の伸長を見せられてきたボクである。旧大陸の人々が中国のプレミアムカーを受け入れる日は意外に近いのでは? と、にわかに感じ始めた今回のフランクフルトであった。

(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)

WEYのブースで。左から4番目がファウンダーのジャック・ウェイ氏。中国のテレビで放映されるCMには、さかんに彼が登場する。右から4番目がCEOのイェンス・シュタイングレーバー氏。
WEYのブースで。左から4番目がファウンダーのジャック・ウェイ氏。中国のテレビで放映されるCMには、さかんに彼が登場する。右から4番目がCEOのイェンス・シュタイングレーバー氏。拡大
WEYの現行ラインナップにおけるトップモデル「XV7S」。
WEYの現行ラインナップにおけるトップモデル「XV7S」。拡大
参考までに、2008年パリモーターショーに出品された双環汽車のSUV「CEO」。
参考までに、2008年パリモーターショーに出品された双環汽車のSUV「CEO」。拡大
大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。21年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。

あなたにおすすめの記事
新着記事