最高速度を上げても事故は増えない

では、実際に規制速度の引き上げが実施されるとどうなるだろうか? 個人的な予想から言えば、「事故が増えるはずはない」。なぜなら、今回の試験区間が、相当に慎重に選ばれた場所だからだ。

試験区間に選ばれたのは、「道路の設計速度が120km/h」「自由流(交通量が少なく、ドライバーが自由な速度で走れる)での事故が少ない」「実勢速度が100km/hを超えている」「渋滞が少ない」という場所だ。そもそも「流れが速くて、それでも事故の少ないところ」で実施するのだ。つまり、速度を上げるというよりも、実際のクルマの流れに合わせたのに近い。逆に、中途半端に遅いクルマが減って、より走行速度が一定になる効果の方が強いだろう。また、世間の目を集める区間となることで、ドライバーへの追い越しルールの徹底なども期待できる。もともとリスクが少なく、速度引き上げのメリットだけが期待できる区間で実施するのだから、失敗する可能性は低いだろう。

しかし、その成功をきっかけに、どこまで速度引き上げ区間が広がるかは不透明だ。最高速度引き上げという過去にない事例ゆえ、まずはリスクの最も少ない区間で実施するというのは理解できる。しかし、次に実施する場所は、今回ほど条件が良くないと考えるのが自然だ。仮に2回目がうまくいったとしたら、3回目はさらに条件が悪くなるだろう。対象エリアを拡大するほどにリスクは高まる。どこまで警察は挑戦するのか? 過去の警察の慎重な姿勢を思い出してみれば、あまり楽観できないというのが正直な思いだ。

(文=鈴木ケンイチ/編集=藤沢 勝)

 

東北自動車道では、2017年12月1日に花巻南ICから盛岡南ICまでの約30kmの区間で最高速度が110km/hに引き上げられる。(写真提供:NEXCO東日本)
東北自動車道では、2017年12月1日に花巻南ICから盛岡南ICまでの約30kmの区間で最高速度が110km/hに引き上げられる。(写真提供:NEXCO東日本)拡大
あなたにおすすめの記事
新着記事