クルマの趣味とどこか似ている

別の参加者にも話を聞くことができた。ミッレミリアのスタート/ゴール地点として有名なブレシアから参加したレナートさんだ。普段は病院勤務である彼は、今年でなんと12回目という常連である。

古いプジョー製自転車で参加した彼に、モダンな自転車に対するヴィンテージ・バイシクルの楽しさを聞くと、「より親密になれるところ」と答えが返ってきた。

親密とは?

聞きなおすと、レナートさんは「手入れには時間がかかる。しかし、いたわればいたわるほど、自転車がそれに応えてくれる。走るときの喜びが大きいんだよ」と説明してくれた。いやはや、まさに古い自動車趣味と同じである。

この趣味の最大の難点は「オリジナルのパーツ探し」とのこと。自転車系の部品市だけでなく、ミラノ郊外やイモラサーキットで催される自動車パーツ系スワップミートもまめに訪ね、カー用品に交じって売られている自転車パーツをつぶさにチェックしているのだそうだ。

レナートさんは今年で62歳。自転車に興味を抱いたきっかけは?

「子供の頃、サッカーでは友達に全然歯が立たなかったんだよ。やつらをなんとか見返してやろうと思ってね、中学3年のとき叔父のお下がりの自転車で鍛え始めたんだよ」とレナートさんは笑う。

なれそめにドラマがあるのも、これまたクルマと一緒である。

(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>、大矢麻里<Mari OYA>/編集=関 顕也)

写真一番左が、文中に登場するレナートさん。右から2人目は、彼の友人で元プロ自転車レーサーのマルコ・セルペッリーニさん。
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大矢 アキオ

大矢 アキオ

コラムニスト。国立音楽大学ヴァイオリン専攻卒にして、二玄社『SUPER CG』元編集記者、そしてイタリア在住21年と脈絡なき人生を歩んできたものの、おかげで妙に顔が広い。今日、日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして執筆活動に携わると共に、NHKラジオフランス語テキストでも活躍中。10年以上にわたるNHK『ラジオ深夜便』レギュラーリポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも奮闘している。『Hotするイタリア』『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(ともに光人社)、電子書籍『イタリア式クルマ生活術』(NRMパブリッシング)など数々の著書・訳書あり。

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