整備するにもセンスが必要

クルマが使用されてきた状況によりレストアの要件は千差万別だが、オリジナルを尊重すれば、走行距離が少ないなら、“未開封のままのエンジン”や駆動系はオイルや消耗品を交換するだけで目覚めるはずだし、安全な走行に必須なブレーキ等を整備し、塗面や内装をクリーニングする程度で完成ということになる。傷やへこみ、ほこりさえも“年輪”としてそのまま残すという極端な例もあるほどだ。その作業にあたっては、所有者もメカニックもクルマの歴史に対する深い知識と造詣が必要で、過去に加えられた修理や改造を見極め、周囲の状況に合わせてレストアするセンスが必要になる。

今回、岐阜で見つかったデイトナは使用期間が短く、走行距離も約3万6000kmと少ないうえに、車載工具を完備するなど保管状態がよく、さらに、一説には5台生産されたとされるレース用アルミボディーのうちの、1台だけの公道走行用仕様ということで高値が予想されていた。果たして180万7000ユーロ(約2億4000万円)で落札されたが、同じオークションできれいにレストア済みの標準生産型1970年デイトナが68万7000ユーロ(約9100万円)であったことを考えれば、希少価値とバーンファインドの相乗効果によって高価格になったといえるだろう。おそらく、このデイトナは、いずれ有名コンクール・デレガンスに姿を現すはずだが、どのような状態で出てくるのか興味は尽きない。

日本でも海外でも、バーンファインドカーに巡り会うのは、保管場所の関係で都市部ではまれで、郊外で発見される場合が多いようだ。もし、あなたが日本のどこかの納屋で長く眠っていたクルマに出会ったとしたら、それがたとえ高級なモデルでなく大量生産された日本の小型大衆車であったとしても、まさに希少なバーンファインドカーなのである。

(文=伊東和彦<Mobi-curators Labo.>/写真=フェラーリ/編集=関 顕也)

岐阜県内の納屋で見つかった「デイトナ」の落札価格は、180万7000ユーロ(約2億4000万円)。その希少性ゆえに、同じオークションで落札されたレストア済みのデイトナの2.6倍にあたる値がつけられた。
岐阜県内の納屋で見つかった「デイトナ」の落札価格は、180万7000ユーロ(約2億4000万円)。その希少性ゆえに、同じオークションで落札されたレストア済みのデイトナの2.6倍にあたる値がつけられた。拡大
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