日本のミウラがベスト・オブ・ショーに輝く

4、5人のグループを組んだジャッジがクラスごとに一台一台、ていねいに審査してゆく。筆者も日本から参加したT氏のミウラSVの審査に“通訳”として立ち会った。T氏の思いの丈をジャッジに精いっぱい、伝えてみる。

審査のポイントは、まず、オーセンティックであることだ。つまり、ランボルギーニの工場出荷時と、できるだけ同じ仕様であることが望ましい。エンジンルームやインテリアなど、変更されがちなポイントを容赦なくチェックされる。

そういう意味では、ポロストリコ部門が仕上げたばかりの個体なら、誰がどう判断してもオーセンティックであろう。おまけに、新車のように美しい。そういう個体がミウラに限らず、何台もコンクールに参加していた。

純粋さやキレイさだけであれば、そういうクルマの中から今回も優勝車が出ておかしくない。実際、クラス優勝車には、レストアされたばかりの個体が多かった。

ミウラSV部門にも、直前にポロストリコで仕上がったばかりという金色のSVがあった。キレイさではダントツだ。けれども、クラス優勝にはT氏のSVが選ばれた。さらに、クラス優勝車の中からこの日のイチバンを選ぶ「ベスト・オブ・ショー」にも、日本からやってきた黄緑のSVが選出されたのだ!

ジャッジに選考理由を尋ねてみると、うれしい答えが返ってきた。キレイでオーセンティックな個体は他にもたくさんあった。けれどもT氏のミウラSVには、他の個体にはない素晴らしいポイントがあった。それは、人とクルマとの長年にわたる付き合いだ。氏はこのミウラを20年以上所有している(レストアされた個体のオーナーは往々にして所有歴が短い)。

常に完調なコンディションをキープしてきた。なぜなら彼は、乗ると決めたら全開にしなければ気がすまないタチだからだ。サーキットも攻めて走る。そこで壊れるようなクルマには乗りたくない。そういう気性の人だった。

だから、ガレージにしまっておくようなことは絶対にしない。イタリアのランボルギーニツアーにも参加した。ミウラ50周年ツアーも走った。ミウラ牧場を訪ねるスペインツアーも完走した。とにかく、乗り倒す。それでいて、オーセンティックさを保っている。インテリアなどは、オリジナルのままだ!

ただ単に、金に飽かせてキレイに仕上げた個体よりも、オーナーが手塩にかけて守ってきた個体の価値が上回った。ある意味、至極まっとうな結論であり、それこそがクルマ文化というものだろう。

日本から、そんな人とクルマが現れたことに、感謝したい。

(文=西川 淳/写真=ランボルギーニ/編集=竹下元太郎)

コンクールデレガンスでの審査のポイントはオーセンティックであること。オリジナルに忠実であることが望ましい。
コンクールデレガンスでの審査のポイントはオーセンティックであること。オリジナルに忠実であることが望ましい。拡大
ジャッジがクラスごとに、ていねいに審査してゆく。
ジャッジがクラスごとに、ていねいに審査してゆく。拡大
「ディアブロ」の一群。
「ディアブロ」の一群。拡大
「ジャルパ」は「ウラッコ」をベースにした2座のミドシップスポーツ。ハードトップを取り外すことができる。
「ジャルパ」は「ウラッコ」をベースにした2座のミドシップスポーツ。ハードトップを取り外すことができる。拡大
イベントには、ランボルギーニのポロストリコ部門が美しくレストアした車両が数多く参加していた。
イベントには、ランボルギーニのポロストリコ部門が美しくレストアした車両が数多く参加していた。拡大
「マルツァル」が拍手の中、観衆の前を行く。
「マルツァル」が拍手の中、観衆の前を行く。拡大
クラス優勝車には、レストアされたばかりの個体が多かった。写真は「ウラッコ」。
クラス優勝車には、レストアされたばかりの個体が多かった。写真は「ウラッコ」。拡大
日本から参加した「ミウラSV」がクラス優勝だけでなく、この日のイチバンを選ぶ「ベスト・オブ・ショー」にも選ばれた。
日本から参加した「ミウラSV」がクラス優勝だけでなく、この日のイチバンを選ぶ「ベスト・オブ・ショー」にも選ばれた。拡大
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