時間の流れ方が違う

今回、あらためて用意された現行ジムニーの試乗車を目の前にまじまじと見つめていて、とあることに気がついた。

これって、前に乗った、あの個体なんじゃないの?

果たしてナンバーが物語る通り、それは3年近く前に取材した「ランドベンチャー」そのものだった。われわれが取材や撮影用にメーカーからお借りする広報車は、記載なき仕様変更うんぬんも含めて性能評価に備える意味でも、鮮度重視で1~2年で更新されるのが通例だ。が、このランドベンチャーはこの夏に車検を取っている上、履いているタイヤも新車当時のまま。裏返せばこの3年あまり、なんにも変わってないということになる。3年前も7年前も同じ電車に乗り同じ仕事をして、同じ店で同じ酒を飲み同じ布団で寝る……と、そういうオッさん的なタクトで生きているというのがJB23系の長寿ぶりを物語ってもいるのだろう。僕も見事にそういうオッさんに仕上がったがゆえ、そのスタンスが全然憎めない。

手抜きではないが、現行ジムニーの印象については以前乗った際のこちらと全然変わりがなかった。厳密に言えばタイヤのヘタリが……などと仕事をしてる風なことも言いたいところだが、それも本当に変化を感じない。乗り心地にすり減りを感じないのはキャビン独立のフレーム構造も効いているのだろう。そして激しい入力の繰り返しとなるオフロードを走ってみるとあらためて感じるのは、シートの骨格剛性や取り付け精度の高さが、このクルマのいいモノ感において無視できない貢献をしていることだ。

今回の「ジムニー ランドベンチャー」は、3年近く前に試乗したものと同じ個体だった。ちなみに、ジムニーは2014年8月の小改良を最後に、現在に至るまで改良や変更は行われていない。
今回の「ジムニー ランドベンチャー」は、3年近く前に試乗したものと同じ個体だった。ちなみに、ジムニーは2014年8月の小改良を最後に、現在に至るまで改良や変更は行われていない。拡大
タイヤの仕様はオフロードでのグリップ力と耐久性を追求したもの。サイズは175/80R16と非常に“肉厚”で、指定空気圧も前が160kPa、後ろが180kPaと、空気をパンパンにつめて燃費を稼ぐ昨今の軽乗用車の潮流とは真逆となっている。
タイヤの仕様はオフロードでのグリップ力と耐久性を追求したもの。サイズは175/80R16と非常に“肉厚”で、指定空気圧も前が160kPa、後ろが180kPaと、空気をパンパンにつめて燃費を稼ぐ昨今の軽乗用車の潮流とは真逆となっている。拡大
「ランドベンチャー」のシートには、はっ水機能を備え、夏は熱くなりにくく、冬は冷たく感じにくい「クオーレモジュレ」という素材の表皮が用いられている。
「ランドベンチャー」のシートには、はっ水機能を備え、夏は熱くなりにくく、冬は冷たく感じにくい「クオーレモジュレ」という素材の表皮が用いられている。拡大
ジムニーの対障害角度は、アプローチアングルが49度、ランプブレークオーバーアングルが32度、デパーチャーアングルが50度。写真程度の悪路なら、アゴや尻を擦ったり、腹を打ったりする心配はまずない。
ジムニーの対障害角度は、アプローチアングルが49度、ランプブレークオーバーアングルが32度、デパーチャーアングルが50度。写真程度の悪路なら、アゴや尻を擦ったり、腹を打ったりする心配はまずない。拡大
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