これで一件落着か!?

実はこの後赤い玉号は、懸案のアライメント調整を行うことになっていた。お願いするのは、アリアガレージ工場長の平澤雅信氏である。

平澤氏は、フェラーリファン話題の書『跳ね馬を2000台直したメカによる フェラーリ・メカニカル・バイブル』を出版された方である。謎に包まれたフェラーリのメカニズムの実態を、ここまで赤裸々に描いた書は初めてだ。

その著者インタビューを行った際、自分の328のステアリングが異常に軽い話をしたところ、「それじゃウチで」ということになったのでした。

しかし今はそれどころではない。なにしろ冷却水が漏れているのだ! いや、正確にいうと今は止まっているが、さっきはかなり漏れていた。アライメント調整なんつーゼイタクは後回しで、2台は尾上サービスへと急いだ。

多摩地区の一般道を尺取り虫のように走ること1時間強。赤い玉号はようやく目的地に到着した。

私「どう? 途中で自然に止まったんだけど」

尾上メカ「……ここだね。このホースの継ぎ目から漏れた跡がある。走ってる途中は、熱膨張で一時的に止まったんじゃないかな」

私「なるほど~! じゃホースバンド交換すれば直る?」

尾上メカ「だといいけどね」

尾上メカは、電動カッターで金属製のホースバンドをブッタ切って交換した。
これで一件落着かと思った時、彼が思わぬ声を上げたのであった。

(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)
 

アリアガレージ工場長の平澤雅信氏。
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平澤氏の著書『跳ね馬を2000台直したメカによる フェラーリ・メカニカル・バイブル』(講談社刊)。
平澤氏の著書『跳ね馬を2000台直したメカによる フェラーリ・メカニカル・バイブル』(講談社刊)。拡大
「ここかな……?」、と尾上メカが診察中。
「ここかな……?」、と尾上メカが診察中。拡大
ホースバンドを交換すれば直るのか!?
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清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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