激軽ハンドルに潜む謎

それについて数週間前、中谷明彦氏はこんなことを言ってくれていた。

「『328』のハンドルが軽い? それ、キャスターついてないんじゃないの。事故車でボディー全体が縮んでるとかで(笑)」

23年前、中谷氏は私の「348tb」に試乗し、「ダンパーの中身、水なんじゃないの」とボロクソ言ってくれたが、相変わらずの毒舌であった。

キャスター角とは、自転車でいえばフロントフォークの角度で、直進性を出すために必要だ。これがあることで直進状態に戻ろうとする力も発生し、角度が浅かったりゼロだったりすると、ハンドルがカルカルになるはず。

しかし私はキャスター角は調整できないと思っていたし、「事故車でボディーが縮んでる」説にいたっては笑って済ませるしかないので、「まさか~」と笑って済ませていたのであった。

しかしその後、“跳ね馬を2000台直した男”平澤雅信氏へのインタビューの際、氏も「キャスターかもしれないですね」と指摘した。

私「えっ! 328ってキャスターも調整できるんですか!?」

平澤氏「できますよ。シムで」

そーだったのかぁ! さすが準レーシングカー的作りを誇るフェラーリ様!

となると、キャスター角が浅い説はかなり有力だ。ひょっとして歴代オーナーのうちの誰かが、「パワステないからハンドルが重くてかなわん。なんでもいいから軽くしてくれ!」とリクエストし、それに応えるべくどこかのメカがキャスターを限界まで浅く調整していたとしたら――。つじつまが合うような気がする! よって私は、早くアライメントを測定してみたくて仕方なかったのだ。

レーシングドライバーで、中谷塾 塾長も務める中谷明彦氏と。毒舌は健在であった。
レーシングドライバーで、中谷塾 塾長も務める中谷明彦氏と。毒舌は健在であった。拡大
“跳ね馬を2000台直した男”、アリアガレージの平澤雅信氏。
“跳ね馬を2000台直した男”、アリアガレージの平澤雅信氏。拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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