レプリカントと恋に落ちた捜査官

『ブレードランナー』は2019年のロサンゼルスを舞台にしていた。地球は環境破壊が進み、人類はほかの惑星へと脱出する。残された貧しい人々は、スラム街で希望のない生活を送っていた。空が晴れることはなく、毎日酸性雨が降り注ぐ。地球外惑星で奴隷労働に従事させるために、タイレル社がレプリカントと呼ばれる人造人間ネクサス6型を製造していた。彼らの中から人間に反旗を翻す者が現れ、人間社会の中に潜んで破壊活動を開始する。

レプリカントは人間そっくりに作られているので、見た目では区別がつかない。「フォークト=カンプフ検査」によってレプリカントを見つけ出す任務を帯びている捜査官が、ブレードランナーと呼ばれている。彼らは隠れているレプリカントを “解任”する権限が与えられている。要するに殺害するわけで、反抗的なレプリカントを排除することで人間社会の崩壊を防ぐ役割を持っているのだ。腕利きのブレードランナーであるデッカードは、多くのレプリカントを解任してきた。誤算は、彼が美女レプリカントのレイチェルと恋に落ちてしまったことである。

『ブレードランナー 2049』はちょうど30年後を描く。舞台は前作と同じロサンゼルスだ。ネクサス6型は2018年に製造が中止され、設定寿命が切れる2022年に全個体が消滅した。製造元のタイレル社は寿命の制限を持たないネクサス8型を開発するが、法律で製造が禁止されてしまう。この年にアメリカ西海岸で大停電が起こり、都市機能が停止した。経済は混乱し、食料の供給がストップして人々は飢餓に苦しむ。レプリカントの破壊工作が原因とされたことで、彼らは人類の敵となったのだ。

2025年になると科学者のニアンダー・ウォレスが遺伝子組み換え食品によって食糧危機を救い、市場の支配権を握る。彼が率いるウォレス社はタイレル社を買収し、反抗することのない従順なネクサス9型を作ってレプリカント禁止法を撤廃させた。違法なネクサス8型がまだ残存しており、ブレードランナーが捜索を続けている。ライアン・ゴズリングが演じるkもその1人だが、人間ではない。ネクサス9型のレプリカントである。

 
第158回:未来の自動車市場はプジョーが独占する?『ブレードランナー 2049』の画像拡大
 
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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