空燃比30以上のスーパーリーン燃焼に挑む

東京モーターショーに先立ち、このスカイアクティブXを搭載した試作車をマツダの美祢試験場で試すことができた。ピットガレージにずらりと並んだ試作車は、外から見る限り、現行「アクセラ」にしか見えないが、その骨格には新しいスカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャーも採用されているという。マツダの次世代の走りに思いをはせるには十分すぎる内容だ。

ガソリンと空気をあらかじめ十分に混合して、その希薄混合気を圧縮自着火させるHCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)は、着火と燃焼の制御が困難であるため、なかなか実用化できなかった。そこでマツダが燃焼成立範囲と制御性を向上させるために採った方法は、スパークプラグ点火を制御手段とするマツダ独自の圧縮着火であり、SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)と呼ばれるものだ。

燃費を向上させたければ、使う燃料を減らせばいい。そこで通常のSI(火花点火)燃焼でもこれまでリーンバーンを追求してきたわけだが、その技術も限界に達しつつあるという。そこでCI(圧縮着火)燃焼の実用化が望まれている。これが実現すれば、理論空燃比(14.7)の2倍以上(30以上)というスーパーリーン燃焼を行うことができるようになる。

試作車に搭載されたスカイアクティブXの排気量は2リッター。圧縮着火エンジンだけあって圧縮比は16.0と高く、190psの最高出力と230Nmの最大トルクが目標値として挙げられている。既存のスカイアクティブGでいえば、2.5リッターに近い数値である。

現行「アクセラ」をベースにした試験車。
現行「アクセラ」をベースにした試験車。拡大
試験車のサスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろがトーションビームアクスル。バイワイヤのブレーキシステムが備わる。
試験車のサスペンションは前がマクファーソンストラットで、後ろがトーションビームアクスル。バイワイヤのブレーキシステムが備わる。拡大
スカイアクティブXにはマツダ独自の圧縮着火、SPCCIが採用されている。
スカイアクティブXにはマツダ独自の圧縮着火、SPCCIが採用されている。拡大
エンジン上部の高圧燃料系を見る。側面には、シリンダー内により多くの空気を送り込む高応答エア供給機が備わる。
エンジン上部の高圧燃料系を見る。側面には、シリンダー内により多くの空気を送り込む高応答エア供給機が備わる。拡大
マツダのR&D管理・商品戦略担当、商品戦略本部長の工藤秀俊氏。
マツダのR&D管理・商品戦略担当、商品戦略本部長の工藤秀俊氏。拡大
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