部品メーカーやカーディーラーはどうなる?
ジャーマン3が主導するEVシフト。ただし、ここで忘れてはいけないのは、EV化だけが次世代自動車産業の重要課題ではないということだ。
EV、そして「自動運転」と「通信によるコネクテッド化」という3つの技術領域の融合が進むほか、事業化の面ではシェアリングエコノミーの台頭を受けて自動車での「所有から共有」という動きが高まる。こうしたサービス領域を、「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」と呼ぶ。
このような新たな技術と事業によって、自動車産業界の全体が、今後大きく変わることは間違いない。そのため、日本、アメリカ、ドイツ、中国、韓国の自動車メーカー各社は「次世代ビジネスシフト」に対する準備を急いでいる状況だ。
具体的には、部品サプライチェーンの見直しと、ディーラー網の再編である。
まず部品サプライチェーンについて、「EV化が進むと部品点数が減るので、関連部品メーカーが急減する」という話が大手メディアで取り上げられることが多い。確かに、内燃機関に比べてEVは構成部品点数が少ないため、部品納入業者の数は減る。しかし、サプライチェーンの見直しは、そうした「下請けの数」が大きな問題なのではなく、「下請けという概念がなくなる」ことが自動車産業界にとって大きなインパクトがあるのだ。
その一例が半導体だ。これまで自動車に関連する半導体は、エンジン、トランスミッション、エアコンなどそれぞれの機器を制御するECUに組み込まれる部品にすぎなかった。ところが、自動運転によるAI(人工知能)化をきっかけに、米インテルと米エヌビディアによる技術競争が激化し、半導体およびその周辺技術が自動車開発の主流になりそうな勢いだ。これまでは下請け企業のひとつにすぎなかった半導体メーカーが、自動車メーカーよりも優位な立場でクルマづくりに参画する時代になるかもしれない。
もうひとつは、ディーラー網の再編だ。こちらもジャーマン3を中心に、EC(電子商取引)化の準備が本格化している。メーカーからユーザーへの新車直販により「ディーラーのあり方」が大きく変わる可能性があるのだ。こうした動きは、すでに日本国内の独メーカー系ディーラーでの大変革が着々と進んでいるという事実がある。
EV、自動運転、コネクテッド、そしてMaaSが複合的に絡む。それが、近未来のクルマ社会の構図である。
そうした時代変革の中で、自動車産業界の新陳代謝が進む。
(文と写真=桃田健史/編集=藤沢 勝)
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