俳優の実人生を反映した主人公像

ちょっと頼りない男たちをサポートするのが、ジミーの妹メリーだ。演じるのはエルヴィス・プレスリーの孫ライリー・キーオ。卓越したドライビングテクニックを持ち、マニュアル車が大好きという派手めの美容師だ。ジミーの元妻の現夫が彼女のボログルマをばかにするが、もちろん何とも思わない。排気量や気筒数を誇るのは、自分に自信がないことの表れだと見切っている。くだらない言いがかりは相手にせず、彼の愛車「フォード・マスタング」を勝手に使って現金奪取の手助けをするのだ。

この映画の主役は、社会からこぼれてしまった人々である。彼らは自分のせいで不運に見舞われたのではない。しかし、一度つまずいてしまうと、なかなかチャレンジはかなわないのだ。犯罪を奨励するわけではないが、チャンスを奪われてしまった彼らが反撃に出るのを見ると元気が出る。

ジミーの人物像は、チャニング・テイタムを想定して描いたと脚本家は語っている。大学を中退して故郷に帰り、マイアミに移ってストリッパーをしていたところをスカウトされて俳優になった彼の生い立ちを思い浮かべたというのだ。この役がハマっているのは当然である。

来年1月公開の『キングスマン:ゴールデン・サークル』でも、彼はすてきな役柄で登場している。マシュー・ヴォーン監督によるスパイ映画第2弾で、もちろん今回の作品とは何のつながりもない。ただ、この2つはチャニング・テイタムが出演すること以外にも、『カントリー・ロード』が重要な役割を果たしているという共通点がある。こちらも素晴らしい出来なので、楽しみにしてほしい。

(文=鈴木真人)

「フォード・マスタング」
1964年に発売され、豊富なオプションを用意したフルチョイスシステムで人気となった。ポニーカーと呼ばれるジャンルを確立し、日本のスペシャルティーカーにも影響を与えたといわれる。映画では2015年に登場した7代目が使われている。
「フォード・マスタング」
	1964年に発売され、豊富なオプションを用意したフルチョイスシステムで人気となった。ポニーカーと呼ばれるジャンルを確立し、日本のスペシャルティーカーにも影響を与えたといわれる。映画では2015年に登場した7代目が使われている。拡大
『ローガン・ラッキー』
2017年11月18日(土)TOHOシネマズ 日劇ほかにて全国ロードショー。
『ローガン・ラッキー』
	2017年11月18日(土)TOHOシネマズ 日劇ほかにて全国ロードショー。拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

あなたにおすすめの記事
新着記事