ポルシェ・カイエン(4WD/8AT)/カイエンS(4WD/8AT)/カイエン ターボ(4WD/8AT)
これぞ完成型 2017.12.08 試乗記 新型「ポルシェ・カイエン」に試乗。車体の軽量化に始まり、車載機器のデジタル化やパワーユニットの強化など、全方位的な進化を遂げた“3代目”の出来栄えやいかに!? ギリシャ・クレタ島からのリポート。累計77万台以上のセールスを記録
2002年に初代モデルが登場したカイエン。ポルシェにとってはまだ「新参者」ともいうべきそのモデルが、スポーツカー専門メーカーであったこのブランドに“新しい顧客”と“巨額の利益”をもたらしたことは、もはやあらためて紹介するまでもないだろう。
SUVという突然の異分子投入に、古くからのスポーツカーフリークからは嘆き節も聞かれ、実際に自身でも「どうしてポルシェが“こんなモデル”を……」という、ある種の違和感を抱いたのも事実。
けれども、結局のところそこで得られたベネフィットが、より魅力的なピュアスポーツカーを生み出す原資となり、当初はブランド力頼みになるだろうと思われたその商売が、初代と2代目の累計で77万台以上を販売したという実績から「実は新たなブランド力を創造している」と明確になった今、このモデルに始まり「パナメーラ」、そして「マカン」へと続いた新たなるカテゴリー開拓というポルシェの戦略が、大成功であったことは誰もが認めざるを得ないはずだ。
一方で、こうした車種構成の急速な変化を踏まえ、昨今ポルシェが新たな危機感を抱き始めたという雰囲気も感じられる。例えば、SUVの巨大市場である中国で、新たにオーナーズクラブやモータースポーツ関連の組織を立ち上げるなど、ピュアなスポーツカーを対象としたカスタマーサービスを充実させる動きなどは、ポルシェのDNAがスポーツカーに宿ることを、かの地の人々により知らしめるための方策に違いない。
そんな時代の風を受けつつ、再度のモデルチェンジなった新型カイエンは、あらためて「よりポルシェ車であること」を強調したと理解できる中身の持ち主。
それはまず、ベースグレードで初めて2t切りを達成した、その軽量ぶりに象徴されている。